アルミニウムの特性「軽さ」「比重」「密度」について解説

アルミニウムは「軽さ」が最大の特長です。アルミニウムの比重は約2.7で、鉄(7.8)や銅(8.9)と比べて3分の1以下です。この軽さは、輸送分野での使用において、燃費改善や効率向上に貢献しています。例えば、航空機のアルミ合金構造材料により、重量軽減と燃料効率向上が実現されています。

比重についての詳細説明

比重とは

比重(密度)は、体積あたりの質量を示す値です。密度は通常、質量/体積で表され、単位はグラム毎立方センチメートル(g/cm³)またはキログラム毎立方メートル(kg/m³)です。比重1は水の密度を基準にした相対的な値で、1立方センチメートルの水の質量が1グラムであることを意味します。これは、密度で表すと1 g/cm³(または1000 kg/m³)となります。

比重は、ある物質の質量を基準物質(水や空気)の質量と比較する指標です。固体や液体の比重を計測する場合、基準として1気圧・4℃の条件下における同体積の水が用いられます。

比重の具体例

比重が1の物質は、水と同じ密度を持つことを意味します。比重が1より大きい物質は、水よりも重いため水に沈みます。逆に、比重が1より小さい物質は、水よりも軽いため水に浮きます。

比重と密度

比重

  • 水の比重:1.0
    • 1立方センチメートル (cm³) の水の質量は1グラム (g) です。
  • アルミニウムの比重:2.7
    • 1立方センチメートルのアルミニウムは2.7グラムの質量を持ちます。これは、水の2.7倍の重さです。
  • ステンレスの比重:約7.8
    • 1立方センチメートルのステンレスは約7.8グラムの質量を持ちます。これは、水の約7.8倍の重さです。

密度

  • 水の密度:1.0 g/cm³ (1000 kg/m³)
  • アルミニウムの密度:2.7 g/cm³ (2700 kg/m³)
  • ステンレスの密度:約7.8 g/cm³ (7800 kg/m³)

アルミの比重が約2.7となる理由

アルミニウムの比重が約2.7となるのは、その原子構造と結晶構造によるものです。

アルミニウムは体心立方格子構造を持ち、この構造は比較的密度が低いことが特徴です。また、アルミニウム自体の原子量が比較的軽いことも、低い比重に寄与しています。

さらに、アルミニウム合金の場合、主成分であるアルミニウムに加え、軽量な元素(マグネシウムなど)が添加されることが多く、これも全体の比重を低く保つ要因となっています。

アルミニウムの種類ごとの比重

アルミニウムの比重は合金の種類によって異なります。以下の表に代表的なアルミニウム合金の比重、主成分、別名、および主な用途を示します。

アルミニウム合金系列比重 (g/cm³)主な成分別名主な用途
1000系 (純アルミニウム)2.71Al 99% 以上純アルミ電気・化学工業、装飾用途
2000系 (銅合金)2.78 – 2.85Al, Cu 主成分ジェラルミン航空機構造材、トラックホイール
3000系 (マンガン合金)2.73 – 2.80Al, Mn 主成分飲料缶、屋根材、キッチン用品
4000系 (シリコン合金)2.65 – 2.76Al, Si 主成分溶接材料、車両用パネル
5000系 (マグネシウム合金)2.65 – 2.70Al, Mg 主成分海洋環境、圧力容器、建築構造材
6000系 (マグネシウム・シリコン合金)2.70 – 2.80Al, Mg, Si 主成分アルミサッシ用合金建築構造材、自動車部品、フレーム
7000系 (亜鉛合金)2.80 – 2.95Al, Zn 主成分航空宇宙、スポーツ用品、高強度部品
8000系 (その他合金)2.70 – 2.90Al, その他元素リチウム電池用箔材、特殊用途

アルミニウムと他の金属の比重の比較

以下の表に、一般的な金属の比重を示します。

金属の種類英語表記元素記号元素番号比重 (g/cm³)
CopperCu298.93
IronFe267.87
チタンTitaniumTi224.51
アルミニウムAluminiumAl132.7
マグネシウムMagnesiumMg121.74

アルミニウムはこれらの金属と比較して非常に軽量で、この特性は特に軽量化が求められる分野で重要です。

アルミニウムの電気伝導性とコスト

電気伝導性

アルミニウムの電気伝導率は銅の約60%ですが、アルミニウムの比重は銅の約1/3です。これにより、同じ重量のアルミニウムと銅を比較すると、アルミニウムの方が約2倍の電流を流すことができます。

コストのメリット

アルミニウムは銅と比較して価格が2〜3倍安価です。材料価格の高騰により、アルミニウムの使用はコストダウンにもつながります。例えば、大手電力会社は配電線を銅線からアルミ線に変更したり、大手空調機器メーカーは熱交換機の材料を銅からアルミニウムに変更したりしています。

アルミニウム使用時の注意【酸化被膜の影響

アルミニウムは電気伝導性が高いものの、表面は強固な酸化被膜に覆われています。この酸化被膜により接触抵抗が高くなることや、溶接やハンダ付けが難しいという課題があります。しかし、ニッケルメッキやスズメッキ、銀メッキ、金メッキを施すことで、酸化被膜の影響を軽減し、接触抵抗を低減させることができます。

最後に

アルミニウムは、その軽さと比重の低さから、自動車や航空機などの輸送機器での使用が広く普及しています。比重が約2.7と低いため、燃費改善や効率向上に寄与します。また、電気伝導性が高く、コスト面でも優れているため、配電線や熱交換器などでも利用されています。アルミニウムの酸化被膜の影響を適切に管理することで、その特性を最大限に活かすことができます。

参考 一般社団法人 日本アルミニウム協会 (Japan Aluminium Association)

公式サイト: 日本アルミニウム協会

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