現在、東京ビッグサイトで開催されている半導体製造装置・材料の国際展示会「SEMICON Japan 2025」に出展しております。
本展示会では、輝創株式会社と共同開発を行っている異材接合技術「CAM接合」をご紹介しております。超薄膜接合による優れた放熱性は、半導体分野の課題解決に貢献するものです。
ご来場の際は、ぜひ弊社ブースへお立ち寄りください。
- 会期:2025年12月17日(水)〜19日(金)
- 会場:東京ビッグサイト
- 小間番号:E4140
- 展示内容:CAM接合(異材接合・放熱技術)
展示技術:CAM接合(異材接合技術)
1. 技術概要
従来、半導体チップとヒートシンク(放熱器)の接合には、放熱グリスやシートなどの「TIM(サーマルインターフェイスマテリアル)」が必要不可欠でした。 本技術(CAM接合)は、これらの接着剤(TIM)を一切使用せず、金属や半導体、ガラスなどを分子レベルで直接接合する技術です。
2. 特長とメリット
- 熱抵抗の最小化
介在物がないため、熱抵抗値を極限まで低減(ほぼゼロ)することが可能です。基準試験片(アルミ単体)と同等の放熱性能を発揮します。 - VOCフリー
揮発性有機化合物を使用しない、環境に配慮した接合プロセスです。 - 多様な素材に対応
酸化被膜ができる物質同士であれば、シリコンウエハ×銅、アルミ×銅、金属×ガラスなど、異種材料の強力な接合が可能です。
3. 用途
半導体チップの放熱、パワー半導体の冷却構造、次世代デバイスの熱対策など。


「半導体」から熱が消えた。接着剤をなくす、常識破りの接合技術
1. 電子機器の永遠の課題、「熱」
スマートフォンやパソコン、パワー半導体。
これらの中核部品である「半導体チップ」は、処理能力が上がれば上がるほど、高熱を発します。
この熱をいかに効率よく逃がすか。 それが、電子機器の性能と寿命を決める最大の課題でした。
2. 今までの常識:「接着剤」が邪魔をしていた
これまで、発熱する半導体と、それを冷やす金属(ヒートシンク)を接合するために、「放熱シート」や「グリス」などの接着剤(TIM)が使われてきました。
しかし、ここに物理的な矛盾があります。
「接着剤は、金属に比べて熱を通しにくい」のです。
冷却しようとしても、間に挟まった接着剤が「見えない壁」となり、熱の移動を阻害していました。
これが、機器の性能低下や故障の大きな原因となっていました。
3. 輝創(株)との共同開発:「直接、一体化させる」
「熱を遮るものがあるなら、なくせばいい」 この発想から、
輝創株式会社との共同開発に実現したのが、「CAM接合(TIMフリー接合)」です。
これは、接着剤を一切使用しません。
特殊な表面処理技術により、金属と半導体(あるいは金属同士)の表面にある「酸化被膜」を利用して、直接結合させます。
4. 技術的なアドバンテージ
- ① 熱抵抗の最小化
介在物がないため、熱が金属内部を移動するようにスムーズに伝わります。従来のTIMを使用する方法に比べ、圧倒的な放熱性能(熱抵抗値ほぼゼロ)を実現しました。 - ② 高い耐久性
有機物である接着剤は熱で劣化・剥離するリスクがありますが、CAM接合は無機質な結合であるため、長期的な信頼性に優れています。 - ③ 環境負荷の低減
揮発性有機化合物(VOC)を含む接着剤を使用しないため、クリーンな製造プロセスを実現します。
より小さく、より高性能に。
次世代のものづくりを、この技術が支えます。
【技術用語の解説】
本記事に登場する専門用語について補足します。
- シリコンウエハ
半導体チップ(集積回路)の基盤となる材料です。高純度のシリコンから作られた円盤状の薄い板で、この表面に電子回路を形成します。動作時には非常に高温になるため、効率的な冷却が不可欠です。 - 酸化被膜(さんかひまく)
金属などが空気中の酸素と結びついて、表面にできる薄い膜のことです。CAM接合は、この膜の性質をうまく利用して、異なる素材同士を強力にくっつける技術です。 - ヒートシンク
熱を吸収し、空気中に放散させるための「放熱器」です。アルミニウムや銅など熱伝導率の高い金属で作られ、表面積を広げるためにフィン(ひだ)状の形状をしています。 - TIM(ティム)
Thermal Interface Material(熱伝導材料)の略。発熱体とヒートシンクの微細な隙間を埋めるために使われる、グリスやシート状の部材のこと。金属同士を密着させるために必要でしたが、金属に比べて熱伝導率が低く、放熱のボトルネックになっていました。 - 熱抵抗(ねつていこう)
「熱の伝わりづらさ」を表す数値です。この値が低いほど、熱がスムーズに移動します。CAM接合は、この数値を極限まで低く抑えることができる技術です。















