あなたの企業は、どれだけ環境に配慮していますか?
カーボンフットプリント(CFP)とは、ある製品やサービスが生産から廃棄までに排出する温室効果ガスの総量を示すものです。
温室効果ガスとは、地球の温暖化を進めるガスで、二酸化炭素(CO2)やメタン(CH4)などが含まれます。CFPはこの排出量を「二酸化炭素換算(CO2eq)」という共通の単位で表します。
- GHGとCFPについて、もうちょっと詳しく!(クリックして展開)
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温室効果ガス(GHG)とは?
温室効果ガス(GHG)は、地球の大気中に存在し、地球の温暖化を引き起こすガスの総称です。
GHGには以下の主要なガスが含まれます。
- 二酸化炭素(CO2):化石燃料の燃焼や森林破壊などから排出される。
- メタン(CH4):農業活動や廃棄物の分解から排出される。
- 一酸化二窒素(N2O):農業土壌管理や化学工業から排出される。
- フロン類(CFCsなど):冷却材や発泡剤などに使用される産業ガス。
GHGは、地球の表面から放射される熱を吸収し、再放射することで温暖化効果を生み出します。
このため、GHGの濃度が増加すると地球の気温が上昇します。
カーボンフットプリント(CFP)とは?
カーボンフットプリント(CFP)は、特定の製品、サービス、または活動がそのライフサイクル全体で排出する温室効果ガス(GHG)の総量を示す指標です。CFPは以下のように表現されます。
- t-CO2eq(トン・二酸化炭素換算)これは、さまざまなGHGを二酸化炭素(CO2)に換算して統一した単位で示したものです。
CFPは、製品やサービスが製造、輸送、使用、廃棄される過程で排出されるすべてのGHGの合計を示します。
具体的には、以下のように計算されます。
- GHG排出量の測定:原材料調達、製造、輸送、使用、廃棄で排出されるGHGの量を測定します。
- GHGの換算:各GHGの排出量を地球温暖化係数(GWP)を用いてCO2換算します。
- 合計:すべてのステージのCO2換算量を合計してCFPを算出します。
当社では、環境省と経産省の資料を基に、温室効果ガス(GHG)排出量をカーボンフットプリント(CFP)として算出しました。
2024年6月現在、新塊・再生塊のアルミ 1 t(トン)当たりの推定値を下記の約3トンとしています。
CFP情報詳細(加藤軽金属工業 情報開示資料)
- 加藤軽金属のCFP:3.0169 t-CO2eq
※t-CO2eqとは、「tonnes of CO2 equivalent(トン・二酸化炭素換算)」の略です。
温室効果ガス(例えば、メタン(CH4)、一酸化二窒素(N2O)など)はそれぞれ異なる地球温暖化係数(Global Warming Potential, GWP)を持っています。
このGWPは、特定のガスが一定期間(通常100年間)にわたりどれだけの温暖化効果を持つかを二酸化炭素と比較して表したものです。
カーボンフットプリントの使用するケース
CFPはさまざまなシーンで活用されます。
以下にその例をいくつか紹介します。
製品ラベル
買い物をする時、エコラベルを目にする機会があるかもしれません。
これは、製品が環境に優しいことを示すラベルで、CFPが低い製品にはこうしたラベルがついています。
例えば、ある洗剤が他の洗剤よりも製造過程で排出するCO2が少ない場合、その洗剤にはエコラベルがつくことがあります。
企業の環境報告
企業は環境に対する取り組みを報告書にまとめることがよくあります。
これを「環境報告書」や「CSR(企業の社会的責任)レポート」と言います。
この中で、CFPを示すことで、どれだけ環境に配慮した経営をしているかをアピールします。
政策対応
政府は企業に対して環境対策を求めることが多く、企業はそれに応じてCFPを計算し、報告する必要があります。
例えば、EU(欧州連合)では、「炭素境界調整メカニズム(CBAM)」という新しい規制を導入しています。
これは、EUに輸入される製品に対して、その製品が製造される過程で排出されたCO2の量に基づいて追加のコストを課す仕組みです。
この規制の目的は、EU内での環境対策を強化するとともに、輸入製品に対しても同様の環境基準を適用し、公平な競争を促進することです。
EUの炭素国境調整メカニズム(CBAM)は、気候変動対策の一環として導入された制度で、高炭素排出製品の輸入に対して炭素コストを課すものです。 この記事では、特にアルミニウム形材を使用した製品に焦点を当て、日本企業がCBAMに[…]
こんな場面で有用
CFPが有用な場面はたくさんあります。
具体例を挙げてみましょう。
商品選び
消費者(つまり私たち)は、環境に優しい製品を選びたいと思うことが多いです。
CFPが低い製品を選ぶことで、環境への影響を少なくすることができます。
企業の信頼性向上
環境に配慮している企業は、消費者や取引先からの信頼を得やすくなります。
これは、企業のイメージアップにもつながります。
コスト削減から改善の見える化
エネルギーを効率的に使うことで、コストを削減できます。
CFPを計算することで、どこでエネルギーを無駄にしているかを見つけることができます。
それを基に最適化や効率化の改善を行うことで、環境にやさしい企業として注目を得る要因となります。
今の時代求められている
現代社会では、環境問題が大きなテーマになっています。
地球温暖化や気候変動(地球の気温が変わること)は、私たちの未来に大きな影響を与えます。
そのため、CFPのような環境への影響を測る指標は非常に重要です。
選ばれる企業
環境への配慮は、企業にとって大きな競争力になります。
例えば、大きな会社が新しいサプライヤー(部品や材料を供給する会社)を探すとき、CFPを計算している企業を選ぶことが多いです。
これは、環境に配慮している企業との取引が、企業のイメージアップにつながるからです。
他の企業では、私たちのようにCFPを算出している企業は、数字が見えるため、それを基に製品のCFPを算出しやすいという理由からも選ばれやすくなります。
具体的なデータを持っている企業は信頼性が高く、取引先や消費者からの評価も高まります。
まとめ
カーボンフットプリント(CFP)は、製品やサービスが環境に与える影響を測るための重要な指標です。
企業はこれを利用して、自社の環境パフォーマンスを改善し、消費者や投資家からの信頼を得ることができます。
今の時代、環境への配慮は企業にとって必須の要素であり、CFPを計算していることは選ばれる企業になるための大きなメリットとなります。
また、EUのCBAMのような政策対応においても、CFPを算出していることが有利に働きます。
企業が国際的な環境規制に対応し、競争力を維持するためにCFPは欠かせない要素です。