アルミニウム形材製品におけるCBAM対応:日本企業への影響と対策

EUの炭素国境調整メカニズム(CBAM)は、気候変動対策の一環として導入された制度で、高炭素排出製品の輸入に対して炭素コストを課すものです。

この記事では、特にアルミニウム形材を使用した製品に焦点を当て、日本企業がCBAMにどのように対応し、持続可能な成長を図るかについて詳しく解説します。

CBAMの概要と背景

CBAMは、EUの「グリーンディール」政策の一部として導入されました。

この政策は、2050年までにEUがカーボンニュートラルを達成することを目指しています。

CBAMの主要な目的は、炭素リーケージを防ぎ、EU内外で公平な競争条件を確保することです​。

実施スケジュール

  • 開始日: 2023年10月1日
  • 移行期間: 2023年10月1日から2025年12月31日まで。この期間中、企業はデフォルト値を使用してGHG(温室効果ガス)排出量を報告することができます。
  • 完全実施: 2026年1月1日以降、輸入業者は新しいタイプの認可を取得し、CBAM証明書を購入して申告する必要があります

アルミニウム形材のデフォルト値と実際の排出量

アルミニウム形材を使用した製品のGHG(温室効果ガス)排出量を報告する際には、デフォルト値が設定されています。例えば、以下のようなデフォルト値が適用されます。

製品カテゴリCNコード直接排出
(トンCO2/トン)
間接排出
(トンCO2/トン)
合計
(トンCO2/トン)
・合金アルミニウム中空形材
・合金アルミニウム形材
・アルミニウム構造物および構造物の部品
・7604 21 00
・7604 29 90
・7610
2.739.3012.04

GHG排出量とは温室効果ガスのことで、そのうち、約9割が二酸化炭素です。

その他、アルミニウムに関するデフォルト値(クリックして展開)
製品カテゴリ 直接排出 (トンCO2/トン) 間接排出 (トンCO2/トン) 合計 (トンCO2/トン)
未加工アルミニウム 2.36 8.14 10.49
アルミニウム粉末・フレーク 2.48 8.4 10.88
非合金アルミニウム棒・ロッド 2.31 7.49 9.8
非合金アルミニウム形材 2.73 9.3 12.04
合金アルミニウム中空形材 2.73 9.3 12.04
合金アルミニウム棒・ロッド 2.31 7.49 9.8
合金アルミニウム形材 2.73 9.3 12.04
アルミニウムワイヤー 2.31 7.49 9.8
厚さ0.2mmを超えるアルミニウムプレート・シート・ストリップ 2.86 9.25 12.11
厚さ0.2mm以下のアルミニウムホイル 2.86 9.25 12.11
アルミニウムチューブ・パイプ 2.73 9.3 12.04
アルミニウムチューブ・パイプフィッティング 2.73 9.3 12.04
アルミニウム構造物および構造物の部品 2.73 9.3 12.04
300リットルを超えるアルミニウム容器 2.86 9.25 12.11
300リットル以下のアルミニウム容器 2.86 9.25 12.11
圧縮または液化ガス用アルミニウム容器 2.86 9.25 12.11
電気的に絶縁されていないアルミニウムのより線・ケーブル・編み帯 2.31 7.49 9.8

デフォルト値の利用期限

2024年7月末まで、日本の企業は上記表のデフォルト値を使用してGHG排出量を報告できます。それ以降は、実際の排出量データを提出することが求められる可能性が高いです。

これは、企業が正確な排出データを収集し、報告するためのシステムを整備する必要があることを意味します。

加藤軽金属はCFPを約3t-CO2eqと算出しました。

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GHGとCFPについて(クリックして展開)

温室効果ガス(GHG)とは?

温室効果ガス(GHG)は、地球の大気中に存在し、地球の温暖化を引き起こすガスの総称です。GHGには以下の主要なガスが含まれます。

  • 二酸化炭素(CO2):化石燃料の燃焼や森林破壊などから排出される。
  • メタン(CH4):農業活動や廃棄物の分解から排出される。
  • 一酸化二窒素(N2O):農業土壌管理や化学工業から排出される。
  • フロン類(CFCsなど):冷却材や発泡剤などに使用される産業ガス。

GHGは、地球の表面から放射される熱を吸収し、再放射することで温暖化効果を生み出します。このため、GHGの濃度が増加すると地球の気温が上昇します。

カーボンフットプリント(CFP)とは?

カーボンフットプリント(CFP)は、特定の製品、サービス、または活動がそのライフサイクル全体で排出する温室効果ガス(GHG)の総量を示す指標です。CFPは以下のように表現されます。

  • t-CO2eq(トン・二酸化炭素換算)これは、さまざまなGHGを二酸化炭素(CO2)に換算して統一した単位で示したものです。

CFPは、製品やサービスが製造、輸送、使用、廃棄される過程で排出されるすべてのGHGの合計を示します。具体的には、以下のステップで計算されます。

  1. GHG排出量の測定:原材料調達、製造、輸送、使用、廃棄で排出されるGHGの量を測定します。
  2. GHGの換算:各GHGの排出量を地球温暖化係数(GWP)を用いてCO2換算します。
  3. 合計:すべてのステージのCO2換算量を合計してCFPを算出します。

デフォルト値の適用例

例えば、日本のアルミニウム形材メーカーが年間10,000トンの形材をEUに輸出する場合、デフォルト値として以下のように報告できます。

  • 合金アルミニウム形材:10,000トン × 12.04トンCO2/トン = 120,400トンCO2

実際の排出量データの報告

もし実際の排出量がデフォルト値よりも低い場合(例えば6トンCO2/トン)、実際のデータを報告することで調整費用を削減できます。

  • 合金アルミニウム形材:10,000トン × 6トンCO2/トン = 60,000トンCO2

これにより、60,400トンのCO2排出量に相当する調整費用が削減できます。

日本が輸出する場合の影響

日本企業がEUにアルミニウム製品を輸出する際、製造過程でのGHG排出量を報告する義務があります。2024年7月末まではデフォルト値の使用が認められていますが、それ以降は実際の排出量データを提出する必要が生じる可能性があります。

企業はこのために、精確な排出データを収集し、報告するためのシステムを整備することが求められます。

日本が輸入する場合の影響

日本がEUからCBAM対象製品を輸入する場合も、輸入業者は製品のGHG排出量に基づく報告を行う必要があります。

輸入品の価値が150ユーロ以上であれば、CBAMの適用対象となります。

このため、輸入業者は製品のカーボンフットプリントを正確に把握し、適切に報告する体制を整える必要があります。

実際に費用が発生するタイミング

2024年6月現在は報告のみの段階であり、費用は発生していません。

報告義務は2023年10月1日から開始され、初回の四半期報告は2024年1月31日までに提出する必要があります​。

しかし、2026年1月1日以降、輸入業者は年間報告を行い、CBAM証明書を購入して提出することが求められるようになります。

この証明書の費用は、EU排出量取引制度(EU ETS)の平均価格に基づいて決定されます​。

CBAM対応のための戦略

データ管理と報告体制の整備

日本企業は、正確な排出量データの収集と報告体制の整備が必要です。

サプライチェーン全体の排出データを把握し、必要なデータを正確に報告するためのシステムを構築することが課題となります。

※サプライチェーンは、製品が材料の調達からお客様の手元に届くまでの全ての流れや活動を指します。

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コスト最適化

デフォルト値を使用する場合と実際の排出量データを提出する場合でコストが異なります。

そのため、企業はコスト最適化を図る必要があります。

実際の排出量がデフォルト値よりも低い場合は、実際のデータを報告することでコストを削減できます。

持続可能な成長戦略の立案

CBAMは、企業にとって持続可能な成長を促進する機会でもあります。

低炭素製品の開発や生産プロセスの改善を通じて、環境負荷を低減し、国際競争力を強化することが求められます。

カーボンフットプリント(CFP)の重要性

CBAMに対応するためには、カーボンフットプリント(CFP)を正確に算出しておくことが非常に重要です。CFPを基にしてGHG排出量を報告することで、以下のような具体的なメリットがあります。

正確なGHG排出量の報告

CBAMの要件を満たすために、輸入製品のGHG排出量を正確に報告する必要があります。CFPはこの報告に必要なデータを提供します。

コスト最適化

実際の排出量がデフォルト値よりも低い場合、CFPを基にした正確なデータを提出することで、余分な炭素コストを削減できます。

環境パフォーマンスの改善

CFPを定期的に算出し、監視することで、製品やサービスの環境影響を継続的に評価し、改善することが可能です。

まとめ

CBAMは、EUに輸出される高炭素排出製品に対して炭素コストを調整するための制度です。

アルミニウム形材を使用した製品も対象となり、企業は2024年7月末までデフォルト値(例: 12.04トンCO2/トン)を使用してGHG排出量を報告できます。

それ以降は実際の排出量データの提出が求められる可能性が高いです。日本企業は、この制度に対応するためのデータ管理と報告体制を整備し、コスト削減と環境負荷の低減に努める必要があります。

また、カーボンフットプリント(CFP)を算出することで、企業は環境パフォーマンスを可視化し、持続可能な成長戦略を立てるための重要なデータを得ることができます。これにより、日本企業がCBAMに適切に対応し、持続可能な成長を続けるための具体的な戦略を立てることが重要です。

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