~ 次世代金型最適化システムのご紹介 ~
本システムは、アルミ押出成形における型材設計のプロセスを革新することを目的としています。
お客様が断面形状のデータを入力することで、トポロジー最適化と数値解析技術を活用し、横方向の荷重に対する耐力(断面2次モーメント)を最大化する最適な形材形状を導出します。
なお、入力データは、押出成形においてZ方向に一様な形状を前提としています。
トポロジー最適化とは?
最適な「かたち(材料配置)」を力学の原理と数値シミュレーションで出す技術です。
- 設計領域や果汁・拘束条件を設計要件として与える
- 構造の「剛性」や「強度」、「エネルギー効率」などの性能を最大化
- 経験則によらない、革新的な構造が得られる可能性
トポロジーの概念図

トポロジー最適化は、強度や剛性を維持しつつ、応力のかからない部分や構造的に重要でない部分の材料を削り取ることで軽量化を実現します。
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背景と目的
従来の型材設計では、試作やシミュレーションを繰り返しながら最適な形状を探る必要があり、時間とコストの負担が大きいという課題がありました。
このシステムは、以下の問題を解決するために開発されています。
- 設計の効率化と短縮化
設計プロセスにおける試行錯誤を減らし、迅速な解析結果を提供することで、設計期間を大幅に短縮します。 - 無駄の削減とコスト削減
トポロジー最適化により、材料の無駄をなくし、必要な箇所に適切な量の材料を配置することで、コストを抑えつつ強度を確保します。 - 製品性能の向上
横方向の荷重に対する耐久性を向上させ、より強く、より軽い製品設計を可能にします。
システムの基本コンセプト
【入力】
お客様は、現在ご使用の金型やご希望の断面形状のデータをシステムに入力します。
※入力は、主に押出成形でのZ方向に一様な形状(長さ方向に形が一定であること)を前提としています。
【解析プロセス】
システムは以下の技術を組み合わせて解析を行います。
- トポロジー最適化技術
設計空間の中で、どこに材料を配置すれば強度が確保でき、無駄を削減できるかを解析します。
従来の設計手法では、経験則に依存していた部分が、数値解析に基づいた科学的なアプローチで最適化されます。 - 断面2次モーメントの評価
横方向に加わる荷重に対して、断面形状がどの程度耐えられるかを数値的に評価します。
この指標を用いることで、耐久性の向上と材料削減のバランスを取った設計が可能になります。 - Z方向に一様な形状の最適化
押出成形品はZ方向に形状が変化しないため、この条件を考慮したトポロジー最適化を適用します。
通常のトポロジー最適化では3D全体の形状を最適化しますが、本システムではZ方向の一様性を保持しながら、強度と材料の最適化を行います。
【出力】
解析結果に基づき、最適な金型形状が提示されます。
従来の設計手法に比べ、以下のようなメリットがあります。
- 不要な部分が削減され、材料費が節約できる
- 横荷重に対する耐久性が向上し、製品寿命が長くなる
- 設計プロセスの手戻りが減り、開発期間が短縮される
システムの特長と優位性
- 設計プロセスの効率化
- 解析が自動で行われ、試作や修正の手間が減るため、開発スピードが向上。
- 最適な材配置と強度確保
- トポロジー最適化と断面2次モーメント解析を組み合わせることで、より合理的な材料配置が実現可能。
- 視覚的な提案で設計がしやすい
- 解析結果は視覚的にわかりやすい形で提示されるため、設計者が直感的に理解しやすい。
現在の開発状況と今後の展開
本システムは現在試作段階にあり、設計検証およびシミュレーションを進めています。
今後は、以下のフェーズを経て実用化を目指します。
- シミュレーション精度の向上
- より現実的な荷重条件や材料特性を考慮した解析精度の向上を行います。
- パイロット試験の実施
- 実際の製造現場での検証を行い、システムの有効性を確認します。
- 実証実験とフィードバックの反映
- 現場の意見を取り入れ、より実用的なシステムへと改良を加えていきます。
【技術検証と進捗状況】2025/03/25
現在、本システムの試作・検証を進める中で、Cチャンネル形状の最適化と熱伝導性能の最大化を目的としたトポロジー最適化の計算を実施しています。
1. Cチャンネル形状の最適化
- 一般的なCチャンネル断面と、トポロジー最適化により設計された形状を比較。
- 3点曲げ試験の変形量を評価した結果、トポロジー最適化により重量を維持したまま強度と剛性が向上することが確認されました。
- ただし、数値ベースでの最適解導出には引き続き検討が必要です。
※ Cチャンネル形状の比較画像

(右)トポロジー最適化で導出された形状

(右)の方が変形が小さく強度も比較的高い
2. 熱伝導性能の最適化
- 60×60mmの断面に材料使用量100mm²の制約を与え、熱伝導性能が最大となる形状を計算。
- 3つの形状を比較:
- 寸法制約なし
- 最小寸法1.5mm
- 最小寸法3.0mm
- 結果、寸法制約なしの形状は最も熱を逃がしやすいが、非常に細い部分があり製造には適さない。
- 最小寸法制約を加えた形状(特に3.0mm)は、シンプルで実用的な構造となる可能性がある。
※ 熱伝導性能最適化の結果画像

特徴的な構造だが、細かい枝分かれ部分は製造困難

計算結果→最小寸法制約(中央・右)によって
製造可能な断面構造を得ることに成功
まとめ
本システムは、トポロジー最適化を活用することで、従来の型材設計のあり方を大きく変える可能性を持っています。
設計時間の短縮、コスト削減、製品性能の向上を同時に実現することが可能となり、アルミ押出成形の新たなスタンダードを目指します。
今後、実証実験の結果や追加機能の開発については随時情報を更新してまいりますので、引き続きご注目ください。
本技術は 現在試験段階にあり、実用化に向けたさらなる検証が必要 です。
特に、断面形状の最適化に関して共に試作・評価を行っていただけるパートナー企業を募集しております。
用語解説
Z方向に一様な形状
押出成形品のように、長さ方向(Z軸方向)において形状が一定で変化がない状態。
アルミ押出成形
アルミニウムを押し出して一定の断面形状に加工する製造方法。
トポロジー最適化
構造物全体で、どこに材料を配置すれば無駄がなく効率的かを数値的に解析し、最適な形状を導き出す設計手法。
横荷重
構造物に横から加わる力。部品や建物が曲がったり変形しないように設計上考慮される力。
断面2次モーメント
部材の断面形状が曲げに対してどれだけ抵抗できるかを示す数値。形状や材料の配置によって決まる指標。
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