はじめに
蟹江町の皆様へ
南海トラフ巨大地震は、発生した場合に26府県以上の広範囲が被災すると想定されています。これは、他府県からの消防・警察・自衛隊などの緊急支援が得られない可能性が高いことを意味します。
蟹江町は愛知県西部に位置し、伊勢湾に面した平坦な地形が特徴的で、南海トラフ地震による強い揺れだけでなく、津波・洪水・液状化など複合的な災害リスクにさらされています。このマニュアルは、あなたとご家族の命を守り、被災後の生活を支えるための実践的な知識と行動指針を提供します。
本マニュアルについて
※本マニュアルにおける南海トラフ巨大地震の想定は、令和7年3月31日に内閣府が公表した「南海トラフ巨大地震モデル・被害想定手法検討会 地震モデル報告書」に基づいています。
同報告書では、広域にわたる震度7相当の揺れと、最大クラスの津波が複数県に及ぶ可能性が明記されており、愛知県沿岸部における津波の到達時間は約90分とされています。よって、当マニュアルの内容は、国の最新想定と整合するものです。
※一般社団法人 日本防災教育振興中央会主催の防災講習
当社・加藤軽金属工業株式会社では、2025年3月31日に一般社団法人日本防災教育振興中央会による全社員対象の防災講習「震度7の生存確率」を受講しました。代表理事の仲西宏之氏(阪神・淡路大震災の被災経験者)から、実践的な防災知識と災害時の行動について学んだことを資料とさせていただきました。
※その他参考資料は、記事の最後に記載する、愛知県、蟹江町等の資料を参考にしています。
参考資料:https://www.bousai.go.jp/jishin/nankai/kento_wg/pdf/honbun.pdf
参考資料:https://www.bousai.go.jp/jishin/nankai/kento_wg/pdf/ichiran.pdf
1. 蟹江町の災害リスク特性
南海トラフ地震による被害想定
愛知県の発表によると、蟹江町では
- 最大震度6強の揺れが発生する可能性
- 理論上最大規模の地震では約1,600棟の建物が全壊・焼失
- 約600人が津波により命を落とす可能性
- 地震発生から90分後には海抜30cmの津波が到達する可能性
- 隣接する弥富町では約4mの津波が予想されており、蟹江町でも同程度の被害が発生する可能性も考慮すべき
- 堤防の崩壊などによる広範囲の浸水リスク
過去の地震の最大規模を想定した場合でも
- 約300棟の建物が全壊・焼失
- 約20人が津波で命を落とす可能性
季節や時間帯によっても被害の特徴は異なり、特に冬の深夜に発生した場合には家屋倒壊による人的被害の増加や、津波からの避難の遅れが懸念されます。
複合的な水害リスク
蟹江町では、南海トラフ地震に伴う津波リスクに加えて
- 蟹江川、木曽川、日光川、福田川、庄内川、領内川、新川などの河川氾濫リスク
- 約1000年に一度の頻度で発生する想定最大規模(L2)の洪水による浸水被害
- 高潮による浸水リスク
- 局地的な大雨による内水氾濫のリスク
これらの災害が複合的に発生する可能性があることを認識しておく必要があります。
2. 命を守る行動
津波対策
- 地震直後、近くの高台や鉄筋コンクリートの建物の5階以上の場所に速やかに避難してください
- 5階以上の建物がない場合は、近場で最も高い場所へ避難してください
- 少なくとも6時間以上は一時避難を続けてください
- 公的な避難所の中には一時避難場所として適さない場合があることに注意してください
強い揺れへの対策
- 家の中は整理整頓し、「落ちてくる物」「移動してくる物」「倒れてくる物」を排除してください
- 特に寝室は注意して整理してください
- 震度6弱以上の揺れでは、家具の転倒防止対策が必須です(死因の多くが家具による圧迫死)
- 窓ガラスには飛散防止フィルムを貼りましょう(地震でのケガの原因の1/3がガラスによるもの)
緊急避難姿勢
- 強い揺れを感じたら、膝立ち姿勢で耐えてください
- 手で拳を作り、頭を保護してください
- 目線は正面に保ち、周囲の状況に注意しながら飛来物に備えてください
3. 基本的な災害への備え
住まいの安全対策
- 地震に強い土地と家:古地図や地盤情報を確認し、液状化・洪水・土砂災害のリスクを把握してください
- 最新の耐震基準であっても、それは「震度7でも建物が立っている」という基準であり、恒久的に住める保証ではありません
- 新築時には建築費の3〜5%上乗せするだけで耐震性が飛躍的に向上します
室内安全対策
- 家具の固定:壁に固定できるならL字金物、簡単なら「不動王(商品名)」がおすすめです(つっかえ棒は震度6弱以上で外れる可能性あり)
- ガラス飛散防止フィルム:複層ガラスや網入りガラスには熱割れの可能性がある遮熱断熱フィルムは避けてください
- 家庭用/キッチン用消火器をリビングやキッチンに設置してください
- 感震ブレーカーを設置し、避難時にはブレーカーを落としてから出ることを習慣づけてください
非常持ち出し品・備蓄品
身の安全を確保するための必需品(寝室に準備)
- 折りたたみ式ヘルメット
- 避難靴(できれば安全靴)
- 充電式ライト
- 防塵手袋
- 笛(ホイッスル)
- ラジオ
- モバイルバッテリー
- 登山用リュックサック(非常用小物をまとめて入れておく)
住居保護・避難生活用品
- ブルーシート(被災住宅の応急処置に大変有効です)
- 毛布(家族分×3枚)
- ハザードマップ(常に最新のものを確認)
- バール(中型以上、約1m):多用途に使え、特に救助活動において多くの命を救う可能性があります
非常食・キッチン用品
- 水分のある日常食材の缶詰やレトルトパック(ローリング備蓄)
- 水は家族人数分×1日3L×7日以上(ローリング備蓄)
- ラップ5本以上のストック(ローリング備蓄)
- キャンプ用調理器具またはカセットコンロとガスボンベ
- 黒のゴミ袋(45L以上)を50枚程度(非常トイレ&水のう用)
救急医療・医薬品
- 非常用救急キット(巻くだけの包帯が便利)
- 清潔なタオル
- 日常使用薬(余分に用意)
- キッチン用ラップ(保護用としても使用可)
ローリング備蓄の実践
- 地域での備蓄品管理:地域で備蓄品倉庫・管理場所を確保し、年1回は防災訓練時に配布または試食する機会を設けることをお勧めします
- 家庭での実践:普段から使う食品や日用品を少し多めに購入し、古いものから使用・補充するサイクルを確立してください
4. 蟹江町の防災対策とリソース
ハザードマップの活用
蟹江町では以下のハザードマップが公開されています。
- 「蟹江町浸水津波避難ハザードマップ」:南海トラフ地震を想定した最大クラスの津波による浸水深や液状化リスクを表示
- 「蟹江町洪水ハザードマップ」:複数の河川における想定最大規模の浸水区域や浸水継続時間を表示
これらは町の公式ウェブサイトからPDF形式でダウンロード可能です。最新の情報を定期的に確認しましょう。
避難場所と避難経路
蟹江町では2022年2月時点で
- 22箇所の指定避難所
- 13箇所の指定緊急避難場所
- 6箇所の避難所
- 10箇所の緊急避難場所
が指定されています。
それぞれの役割は以下の通りです。
施設の種類 | 目的 |
指定避難所 | 災害の危険がなくなるまで避難者が滞在したり、住宅を失い自宅へ戻れなくなった被災者が一定期間避難生活を送ることができる公の施設 |
指定緊急避難場所 | 災害の危険が切迫した緊急時において、一時的な避難及び安全性が確保される場所または施設。地震、内水、洪水、火災の災害の種類ごとに指定 |
避難所 | 指定避難所を除く避難所。地域の公民館や集会所等 |
緊急避難場所 | 指定緊急避難場所を除く緊急避難場所。津波、洪水などから身を守るため、緊急時に民間施設等の一部を一時的に避難する場所として使用できるように協定を結んだ建物 |
避難判断のポイント
- 屋内安全確保(垂直避難):大雨などで屋外への避難が危険な場合は、自宅のより安全な場所(2階以上)への避難も選択肢の一つです
- 複数の避難経路を事前に計画し、安全に避難できるルートを確保してください
- マイ・タイムラインの作成:「我が家の避難計画」を作成し、家族で話し合い、避難場所や連絡方法を事前に決めておきましょう
災害情報の収集
蟹江町では以下の手段で災害情報が発信されます。
- 町公式ウェブサイト
- 防災ラジオ
- 防災情報メール
- FMななみ
- 全国瞬時警報システム(Jアラート)
- ヤフー株式会社との災害時情報発信に関する協定
災害時には一つの情報源だけでなく、複数の手段で情報を収集するよう心がけてください。
5. 罹災証明書と支援制度
災害後の復興支援には罹災証明書が必須です。
過去の災害では、この発行手続きの遅れにより被災者生活支援金の受け取りや住宅の応急修理などの手当が遅れる事例が発生しています。
事前対策
- 現行法では自然災害対応の最高責任者は市町村長です
- 積極的に蟹江町役場に災害対策について問い合わせてください
- 罹災証明書の申請方法や必要書類について事前に情報を収集しておくことをお勧めします
6. 地域防災力向上のための提言
蟹江町の地域防災力をさらに高めるために、以下の活動への参加をお勧めします。
- 地域に根差した訓練への参加:町内会や自治会単位での実践的な訓練に積極的に参加しましょう
- 情報弱者への配慮:高齢者や障がいのある方など、情報を得にくい方々への支援を地域で考えましょう
- 地域の連携強化:町、地域住民、自主防災組織、企業、関係機関の連携を強化しましょう
- 防災ボランティア活動への参加も検討してください
一般社団法人 日本防災教育振興中央会主催の防災講習
当社・加藤軽金属工業株式会社では、2025年3月31日に一般社団法人日本防災教育振興中央会による全社員対象の防災講習「震度7の生存確率」を受講しました。代表理事の仲西宏之氏(阪神・淡路大震災の被災経験者)から、実践的な防災知識と災害時の行動について学びました。
この団体は「行政のみでは現実的に対応しにくい点を改善し、地域住民が連携して大地震や大規模災害を想定し日常の備えができるよう、地域に根差した『実践的な地域防災システム』(地域防災力)を構築し、災害に強い地域社会の確立を目指す」ことを目的としています。
講習では、正常性バイアス(「自分は大丈夫」という思い込み)や公助依存(行政が助けてくれるという過信)といった防災意識の課題や、様々な状況での正しい避難行動について学びました。特に震度7の地震時には多くの人が「自力脱出」や「家族・近隣住民による救助」に頼らざるを得ないという現実も共有されました。
防災対策の重要ポイント
講習で強調された重要なポイントには以下のようなものがあります。
- 避難の三原則 – 「想定を疑え」「最善を尽くせ」「率先避難者になれ」
- 災害時の救命・応急処置技術 – 直接圧迫止血法や骨折箇所の固定方法など
- 緊急避難姿勢:「ゴブリンポーズ」による身の安全確保
- 事業継続計画(BCP)の重要性:災害発生後も事業を継続するための準備
さらに、災害時に特に役立つ防災グッズとして
- 1メートルほどのバール:がれきの下敷きになった方の救助など多用途に使用でき、多くの命を救う可能性があります
- ブルーシート:被災後の住宅の応急処置に非常に有効です
- ゴミ袋:非常トイレ&水のう用以外にも、トイレ等の逆流防止(水を入れた状態で、トイレの水洗の上に置き逆流を防ぐ)
- ラップ類:包帯や固定代わりに有効です
同会では、理想的な地域防災を実現するために行政と地域が一体となって考えることの重要性を説き、人や物や予算の関係で行政が対応できる範囲が限られる中、その間を埋める役割を担っています。
そのきっかけとして「防災教育」を推進しており、加藤軽金属工業株式会社は、今後も定期的な講習や訓練を通じて蟹江町の防災力向上に貢献していく予定です。
さいごに
南海トラフ巨大地震は、いつ発生してもおかしくない状況です。蟹江町の地理的特性から、地震による揺れだけでなく、津波・液状化・河川氾濫など複合的な災害リスクに備える必要があります。
「自分の命は自分で守る」「自分の家族は自分で守る」という意識を持ち、日頃からの備えを怠らないよう心がけましょう。また、地域全体の防災力を高めるため、ご近所との協力関係を築き、共に安全な町づくりを進めていきましょう。
当社・加藤軽金属工業株式会社は、蟹江町の企業として、地域住民の皆様のために最善を尽くします。このマニュアルが皆様の防災意識向上と実践的な備えの一助となれば幸いです。
✅ 蟹江町公式防災情報
- 蟹江町 安心安全課 防災トップページ
災害情報、防災計画、防災ラジオ等を網羅しています。
https://www.town.kanie.aichi.jp/soshiki/5/ - 蟹江町 浸水津波避難ハザードマップ
津波・液状化・避難場所が地図付きで確認可能です。
https://www.town.kanie.aichi.jp/soshiki/5/sinsuihinanhaza-domappu.html - 蟹江町 洪水ハザードマップ
蟹江川・木曽川等の洪水被害想定区域図があります。
https://www.town.kanie.aichi.jp/soshiki/5/kouzui-map.html - 蟹江町防災計画
蟹江町防災会議の資料があります。
https://www.town.kanie.aichi.jp/soshiki/5/kaniebousaikeikaku.html - 蟹江町災害時避難行動要支援者登録制度
災害時に、家族などの支援だけでは避難することができない、または家族などの支援が受けられない在宅の方
詳細は下記URL参照
https://www.town.kanie.aichi.jp/soshiki/9/saigai.html
🧭 ハザードマップ・災害リスク情報
- 重ねるハザードマップ(国土地理院)
津波・洪水・液状化・土砂災害などを地図で重ねて表示可能です。
https://disaportal.gsi.go.jp/ - 蟹江町の流域治水対策(国交省 中部地方整備局)
蟹江川・木曽川流域の治水施策や洪水対策についての情報です。
https://www.cbr.mlit.go.jp/kisokaryu/ryuiki/ryuiki_kaigi.html
🏃♂️ 避難・訓練・実務的対策
- 蟹江町:防災マップ
どこに避難すればいい?蟹江町の公式防災マップPDFをダウンロードしよう!
https://www.town.kanie.aichi.jp/soshiki/5/bousaimap.html - NAVITIME:蟹江町の避難場所一覧
スマホで避難場所の検索が可能です。蟹江町以外も検索できます。
https://www.navitime.co.jp/category/0706001001/23425/