アルミニウムの電気伝導率とは?銅との比較からコストまで詳しく解説
アルミニウムは、その軽さとコストパフォーマンスの高さから、電力伝送において重要な役割を果たしています。特にA1070アルミニウムは、優れた電気伝導率と経済性で注目されています。バスバーのような大電流を効率よく流すための部品には、軽量でコストが抑えられる材料が求められます。本記事では、アルミニウムの電気伝導率について、バスバーでの使用を中心に、銅との比較やコスト面での利点を詳しく解説します。
電気伝導率とは?
電気伝導率は、金属がどれだけ効率的に電気を通すかを示す指標です。電気伝導率の高さは、電力伝送や電子機器において非常に重要な要素です。
IACSの説明
IACS(International Annealed Copper Standard)は、純銅の電気伝導率を100%とする国際規格です。これにより、他の金属の電気伝導率が銅と比較しやすくなっています。たとえば、A1070アルミニウムは約62% IACSの電気伝導率を持ちます。
アルミニウム (Al) の電気伝導率
A1070アルミニウムの特徴
A1070アルミニウムは純度が高く、電気伝導率が約62% IACSです。これは、電力伝送やバスバーに適しており、軽量で経済的な素材として知られています。
銅との電気伝導率比較
- 銅の電気伝導率:100% IACS
- A1070アルミニウムの電気伝導率:62% IACS
銅に比べてアルミニウムはやや電気伝導率が低いですが、その軽量性とコストパフォーマンスで大規模な電力伝送には優れた選択肢となります。
その他、金属の電気伝導率
材料 | 電気伝導率 (% IACS) |
---|---|
銅 (Cu) | 100% |
A1070純アルミ(アルミニウム99.7%以上) | 約62% |
A3003アルミ合金 | 約40% |
6063-T5アルミ合金 | 約52% |
純金 (Au) | 約78% |
純銀(Ag) | 約108% |
電気伝導率とバスバーでの利用
バスバーとは?
バスバーは、電流を効率的に流すために使用される導電体で、主に電力設備や工場などの大規模な電力供給システムに使われます。バスバーは高電流を流すため、使用する材料には高い電気伝導率と耐久性が求められます。
バスバーにアルミニウムが使われる理由
バスバーには従来、電気伝導率が高い銅が使用されることが多いですが、アルミニウムは次の理由で代替材料として選ばれています。
十分な電気伝導率:A1070アルミニウムは電気伝導率が約62% IACSで、銅の約60%の性能を持ちながら、同じ重量であればより多くの体積を持つため、銅の2倍以上の電気を流すことが可能です。
軽量性:アルミニウムは銅に比べて約3分の1の重量であるため、バスバーの総重量を軽減でき、建設や設置の際にかかる負担を軽くします。
コスト削減:銅の価格が高騰している中で、アルミニウムは価格が約3分の1であるため、材料費を大幅に削減できます。
電気伝導率比較表
電気伝導率とコストパフォーマンスの比較
アルミニウムは、銅と比較して大きな経済的利点を持ちます。以下は、2024年4月の価格データに基づく、銅とアルミニウムのコスト比較です。
材料 | 価格(JPY/kg) | 電気伝導率 (% IACS) |
---|---|---|
銅 | 約1,400円 | 100% |
A1070 | 約430円 | 約62% |
コスト面での利点
アルミニウムは銅の約1/3の価格でありながら、電気伝導率は約60%を維持します。このため、同じ重量や体積で比較した場合、軽量化のメリットを活かしながらコストを抑えることができるため、バスバーや電力伝送の用途に最適です。
材料 | 電気伝導率 (% IACS) | 必要な断面積 (銅の断面積の倍) |
---|---|---|
銅 (Cu) | 100% | 1倍 |
A1070 | 62% | 1.61倍 |
A3003 | 40% | 2.5倍 |
6063-T5 | 52% | 1.92倍 |
同じ重さでの電気伝導率比較
アルミニウムの密度は2.7 g/cm³、銅は8.96 g/cm³。同じ重量ならアルミニウムは銅より約3.3倍の体積を持ちます。そのため、軽量化が求められる場面では、アルミニウムがコストパフォーマンスで優れた選択肢となります。
材料 | 重さ | 電気伝導率 | 体積 | 同じ重さでの電気伝導率(銅を基準) |
---|---|---|---|---|
銅 (Cu) | 1 kg | 100% IACS | 約0.1116 L | 基準値 |
A1070 | 1 kg | 62% IACS | 約0.370 L | 約204.6%(銅の約2.046倍) |
A3003 | 1 kg | 40% IACS | 約0.370 L | 約132%(銅の約1.32倍) |
6063-T5 | 1 kg | 52% IACS | 約0.370 L | 約171.6%(銅の約1.716倍) |
アルミニウムが選ばれる理由
電力伝送におけるアルミニウムの使用例
アルミニウムは軽量でコストが低く、特に大規模な電力伝送や送電線で広く採用されています。バスバーにおいても、軽量性や設置コストの削減が可能です。
航空機や自動車での利用
航空機や電気自動車(EV)の軽量化にも貢献しています。軽量化により、燃費の向上やバッテリーの消費抑制につながるため、環境にも配慮した選択となります。
結論:アルミニウムを選ぶポイント
A1070アルミニウムは、電気伝導率とコストのバランスが非常に優れており、軽量性が求められる電力伝送やバスバーにおいて理想的な選択肢です。特に、設置コストや材料費を抑える必要がある大規模なプロジェクトにおいて、その効果が発揮されます。最終的に、銅と比べて適度な導電性能を保ちながら、コスト削減を実現するための実用的な素材と言えます。
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