はじめに:EXPO出展で見えた市場の転換点
先日開催された「第2回ソーラーシェアリングEXPO」では、全国の販売・施工業者の皆様から多くの貴重なご意見を賜り、誠にありがとうございました。
皆様との対話の中で私たちが確信したのは、2024年の新ガイドライン施行により、ソーラーシェアリング市場のルールが根本的に変わったという事実です。
「とりあえず安い架台で」
「初期投資を抑えればなんとかなる」
そんな時代は、もう完全に終わりました。
これからの施主(農業従事者)が真に求めるのは、目先の安さではありません。
20年という長い事業期間を走り抜くための「事業継続性」と、厳格化された「法規制への適合性」です。
私たち加藤軽金属工業は、この市場変化こそが、真に価値ある提案を行うプロフェッショナルにとっての好機と捉え、満を持してアルミ製ソーラーシェアリング架台事業への本格参入を決定いたしました。
本記事では、販売・施工に携わる皆様に向けて、当社のアルミ架台が、これからの市場でいかに強力な「武器」となり得るか、その価値と販売戦略を包み隠さずお伝えします。
市場環境の激変:既存事業者の「更新危機」が、あなたのビジネスチャンスになる
まず、今、水面下で何が起きているのか。その本質を共有させてください。
【重要事実】既存事業者も、次回の許可更新時に「新基準」が適用されます。
ご存知の通り、ソーラーシェアリングの農地転用許可は3年または10年ごとの更新制です。
これまで営農を疎かにしてきた事業者は、次の更新で「収量8割維持」「適切な営農の証明」といった新基準の壁に直面し、許可が更新されず、設備の撤去を求められる「更新危機」を迎える可能性が極めて高い。
この危機は、裏を返せば、我々にとって新たな需要が生まれるビッグチャンスです。
- 撤去・再設置需要の急増:重く、撤去が困難なスチール製の設備から、撤去が容易で、かつ新しい営農計画に最適化された設備への転換ニーズが必ず発生します。
- 提案の質が問われる時代へ:新規参入者は「安ければ良い」とは考えません。20年間のLCC(ライフサイクルコスト)を重視し、付加価値の高い提案を求める、質の高い顧客層が主流となります。
つまり、もはや単純な価格競争のステージではないのです。
「いかに施主の20年間の事業リスクを低減できるか」という、提案の“質”そのものが問われる時代に突入しました。
加藤軽金属工業製アルミ架台:御社の提案を勝利に導く「5つの決定的優位性」
この新しい市場で、なぜ私たちのアルミ架台が「武器」になるのか。
5つのポイントで解説します。
優位性①:【コスト構造の革命】「部材は高いが、トータルでは安い」という事実
正直に申し上げます。アルミという材質上、部材費だけを見ればスチール製より高価になる場合があります。
しかし、ぜひとも皆様には、トータルコストでご判断いただきたいと考えております。
比較項目 | スチール製架台 | 加藤軽金属製 アルミ架台 |
部材費 | 標準 | 10~20%増の可能性あり |
施工費 | 標準 | 30~50%削減 の可能性あり |
総合初期コスト | 標準 | 同等、もしくは削減可能 |
- LCCでの圧倒的優位
さらに、メンテナンス費用と撤去費用(売却益)まで含めたLCC(ライフサイクルコスト)で比較すれば、その差は歴然です。
優位性②:【営農最適化】「規格品では無理」を可能にする、完全オーダーメイド設計
「収量8割維持」をクリアするには、作物に合わせた環境構築が不可欠です。
- 技術的強み
私たちは単なる架台メーカーではありません。アルミ加工のプロとして、柱の間隔・高さ、そしてパネル配置による遮光率まで、お客様の営農計画に合わせて完全に自由に設計します。 - 顧客メリット
施主が既存の農業のやり方や、高価な農業機械を変える必要がありません。「あなたの農業に、設備を合わせます」という提案は、営農継続に真剣な顧客ほど高く評価します。
優位性③:【法的アドバンテージ】新基準最大の要件「撤去費用」を逆手に取る提案
新ガイドラインで義務化された「撤去費用の担保」。
これは施主にとって大きな負担ですが、アルミ架台なら、この“負担”を“メリット”に変える提案が可能です。
- 競合との差別化ポイント
スチール製の場合: 重機による解体、サビた鉄の産廃処理費用は高額です。
撤去費用は、間違いなく「負債」となります。 - 顧客への最強のセールストーク
「20年後の撤去費用を、今から心配する必要はありません。私たちのアルミ架台なら、むしろその売却益で撤去費用をまかなえる可能性すらあるんですよ」 この一言が、事業の出口戦略まで考える慎重な顧客に、どれほど響くかご想像ください。
優位性④:【信頼性】60年の歴史が、20年先の安心を担保する
私たちは、この分野では新規参入です。
しかし、加藤軽金属工業は、1961年創業のアルミ専門メーカー。金型の設計から押出、加工まで一貫して手掛ける「国産品質」と、何かあった時の「迅速な対応力」が、私たちの最大の信頼性の証です。
20年という長いお付き合いのパートナーとして、安心してお選びいただけます。
優位性⑤:【付加価値】ESG・環境貢献という、現代的な販売ストーリー
- 軽量化による輸送時のCO2削減
- 高いリサイクル性
- 土壌汚染リスクの最小化。
これらは、企業の社会的責任(ESG)を重視する農業法人や、補助金活用を狙う顧客にとって、非常に魅力的な「付か価値」となります。単なる設備ではなく、「環境と農業の未来に貢献する投資」というストーリーを提案できます。
販売時の注意点:信頼されるパートナーであるために
私たちは良いことばかりを言うつもりはありません。
販売いただく皆様にも、以下の点は正直にお伝えいただくようお願いしています。
- 技術的課題
- 基礎工法: 「スクリュー杭不要」というコンセプトは革新的ですが、全ての土地に無条件で適用できるわけではありません。 必ず地盤調査を行い、適用可否を慎重に判断する必要があります。
- 長期実績: この分野での20年以上の実績は、まだありません。「アルミ加工のプロとして60年の実績はありますが、ソーラーシェアリングでは皆様と一緒に実績を創っていく段階です」と、誠実にお伝えください。
- コスト面での注意点
- 初期コスト: 小規模な案件では、スチール製との価格差がデメリットに感じられる場合があります。LCCでの優位性を丁寧に説明することが不可欠です。目安として、50kW以上の案件で、私たちの架台のメリットは最大化されます。
まとめ:最高の「武器」を、最高の「使い手」である皆様へ
2024年、ソーラーシェアリング市場は「質的向上」の時代に突入しました。
安価な製品による薄利多売のビジネスモデルは、もはや通用しません。
私たちのアルミ架台は、この新時代の要請に応える決定的な商材です。
私たちは、アルミのプロとして、最高の「武器」を鍛え上げ、皆様にお渡しすることに全力を注ぎます。
そして、その武器を手に、お客様へ最高の提案と施工を届け、事業を成功に導くのは、プロフェッショナルである皆様の役割です。
この「素材のプロ」と「現場のプロ」との強固なパートナーシップこそが、これからの市場で確固たる地位と、持続的な収益を獲得する唯一の道であると、私たちは確信しています
ご興味をお持ちいただけましたら、ぜひ一度お問い合わせください。
参考資料:営農型太陽光発電のルールについて
営農型太陽光発電は、国が定めるルールに基づいて行われます。ここでは、制度の変遷と、参考となる公式資料の概要をまとめました。
ソーラーシェアリング新旧比較表(簡易版)
項目 | 旧制度 (~2024年3月) | 新ガイドライン (2024年4月~) | ポイント |
報告義務 | 毎年の報告を求めるが、書式や内容は不明確な場合も。 | 栽培実績に加え、収支報告書の毎年の提出を義務化。 | 営農・経営実態の継続的なモニタリングが厳格化。 |
撤去費用 | 明確な規定なし。 | 申請時に撤去費用負担の証明書提出を義務化。 | 事業終了時の原状回復の確実性を担保するセーフティネット。 |
最低地上高 | 明確な規定なし。 | 原則として2メートル以上を確保。 | 農業機械の利用効率を保証し、営農継続を本気で求める姿勢。 |
地域合意形成 | 個別案件ごとの判断。 | 「地域計画」との連携、協議の場での合意が要件化。 | 事業の計画段階から地域との調和が必須に。 |
■これまでの経緯(簡単な年表)
営農を続けながら太陽光発電を行うための、最初の公式ルール(通知)が国から出されました 。
ルールが改定。特に、地域の農業を担う「担い手」や、荒廃農地を再生利用する場合に、一時転用許可の期間が従来の3年から10年に延長されました 。
※注意点:この「10年許可」は誰でも受けられるわけではなく、特定の条件を満たす場合に限られます 。
これまでの通知が廃止され、より厳格な新しい「ガイドライン」が制定されました 。
背景:発電ばかりを優先し、農業がおろそかになる事例が増えたためです 。
主な変更点
- 毎年の収支報告が義務化
- 設備の撤去費用を確保していることの証明が必須に
- 架台の高さは原則2m以上を確保
※重要なポイント:この新しいルールは、これから始める人だけでなく、既に設備を設置している人も、次の許可更新のタイミングで適用されます 。
■公式資料の概要
営農型太陽光発電に関する国の公式資料は、主に以下の3つで構成されています。
1.ガイドライン
「営農型太陽光発電に係る農地転用許可制度上の取扱いに関するガイドライン」の制定について
令和7年3月 31 日 6農振第 2983 号
参考資料:農林水産省pdf
どんな資料?: 制度全体の基本ルールブックです。
書かれていること:農地転用許可を得るための基準、必要な申請書類、守るべき条件などが網羅的に定められています 。制度の根幹となる最も重要な公式文書です。
2.事業者向けQ&A
令和7年4月(改訂版)
参考資料:農林水産省pdf
どんな資料?:事業者(農家や発電事業者)向けの公式解説書です。
書かれていること:ガイドラインの内容について、事業を行う側が抱く「こんな時はどうするの?」という具体的な疑問に、一問一答形式で分かりやすく答えています 。例えば、「どこに相談すればいいか」「どんな書類を準備すればいいか」といった実務的な内容が中心です。
3.行政担当者向けQ&A
営農型太陽光発電の実務用Q&A(都道府県、市町村及び農業委員会担当者向け)
令和7年4月(改訂版)
参考資料:農林水産省pdf
どんな資料?:行政(都道府県や市町村、農業委員会)向けの公式解説書です。
書かれていること:申請を「審査・指導する側」が、どのように許可の判断を下し、事業者への指導を行うべきかが書かれています 。事業者がこの資料を読むと、「行政がどこをチェックしているのか」という裏側を知ることができます。
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