環境に配慮したアルミを使いたい。
しかし、品質が変わることで生じる再テストの手間や、調達の不安定さに不安を感じていませんか?
また、全量を環境配慮型に切り替えるのは現実的に難しい。
それでも、できる範囲で取り組んでいることを、取引先や社会に対して確実に証明したい。
私たちは、そんな課題を解決し、御社の戦略に合わせて脱炭素のレベルを自由に選べる「マスバランス方式(質量均衡方式)」を採用しています。
1. アルミとエネルギーの深い関係
アルミニウムは、原料(ボーキサイト)を電気分解して作るため、製造に膨大な電気エネルギーを必要とします。
この電気が「化石燃料(火力発電)」由来の場合、どうしても多くのCO2が排出されてしまいます。
これに対し、私たちは「再生可能エネルギー(水力・太陽光など)で製錬されたアルミ」を使用することで、CO2排出量を大幅に削減しています。
ただし、工場では再生可能エネルギー由来のアルミと通常のアルミの両方を使用しており、これらはどちらも同じJIS規格を満たした最高品質のアルミです。製品になってしまうと、見た目や性能で区別することはできません。
そこで採用しているのが「マスバランス方式」です。
2. マスバランス方式(質量均衡方式)とは?
仕組み
物理的に分離できないため、どの製品が再エネ由来か区別することはできません。
しかし、投入した再生可能エネルギー由来アルミの量(質量)は厳密に管理されているため、その分だけ「環境価値」を割り当てる権利が発生します。
この環境価値を、どの製品に、どのような割合で割り当てるかは、御社の戦略に応じて自由に決めることができます。これがマスバランス方式の最大の特徴です。
具体的には、工場全体で「再生可能エネルギー由来のアルミを何トン(何%)使ったか」という実績を厳密に管理し、その割合に応じて、製造した製品に対して「再生可能エネルギー由来アルミ○○%使用」という環境価値を割り当て、証明書を発行します。
物理的には区別がつかなくても、計算上で確実に「環境配慮型アルミ」としての価値をお届けする、国際的に認められた仕組みです。
目的
既存の設備やインフラをそのまま利用しつつ、環境負荷の低い原料を段階的に導入し、環境配慮型製品を普及させることを目指します。
全量を一度に切り替えるのではなく、できる範囲から確実に取り組みを進め、その成果を可視化できることが、この方式の大きな価値です。
迅速かつ大規模な導入を可能にする重要な手法として、世界中で採用されています。
保証
割り当ての妥当性は、DNV(Det Norske Veritas)のような第三者機関による検証・認証を受けています。
透明性の高い証明書により、環境への貢献を確実に示すことができます。
3. お客様のメリット
品質リスクなし
設備や工程は従来通りです。
アルミ合金の成分や強度が変わらないため、設計変更や再テストの手間がかかりません。
今までと同じ品質のまま、環境配慮型製品として調達できます。
予算と目標に合わせた「柔軟な割り当て」
マスバランス方式の最大の特徴は、環境価値の割り当てをコントロールできることです。
「特定の製品だけを100%環境配慮型として販売する」という集中戦略も、「全製品に30%や50%の環境価値を付与する」という均等配分も、御社の環境戦略に合わせて自由に設計できます。
取り組みを確実に証明
第三者認証機関(DNV等)の検証を受けた証明書により、御社の環境への取り組みを対外的に明確に示すことができます。サステナビリティレポートや、取引先への説明資料として活用いただけます。
環境配慮型アルミが必要な場合
お取引先様のサプライチェーン要求や、特定のプロジェクトで環境配慮型アルミが必要な場合は、ご相談ください。御社のご要望に応じた最適な調達プランをご提案いたします。
【コラム:もっとわかりやすく!】
Q. マスバランス方式って、どういうこと?
「○○県産の果汁10%使用」というジュースの表示で考えてみましょう。
工場で果汁100%ジュースを100本作る際
- 50本分:○○県産の高級果汁
- 50本分:通常の果汁
これらをタンクに入れると混ざってしまいますが、マスバランス方式では、この「50本分」という価値を、お客様のニーズに合わせて「自由に割り当てる」ことができます。
【パターンA:100%モデル】環境価値を集中させる
「高くてもいいから、最高級品が欲しい」というお客様に対し、特定の50本だけに「○○県産100%使用(相当)」というラベルを貼って販売し、残りは通常のジュースとして扱います。
※多くの企業が採用している「100%環境配慮型製品」はこの方式です
【パターンB:ミックスモデル】環境価値を分け合う
「まずは少しずつ試したい」という場合、製造した100本すべてに「○○県産50%使用」として、価値を均等に割り当てて販売することも可能です。
私たちのアルミも同じです
工場全体で使用した「再生可能エネルギー由来アルミ」の量に応じて、
- 「この製品は100%再エネ由来で」と環境価値を集中させることも、
- 「予算に合わせて、30%や50%の再エネ由来にする」と調整することも、
御社の戦略に合わせて、柔軟に選ぶことができます。
この柔軟性こそが、マスバランス方式が世界中で採用されている大きな理由です。
御社に最適な割り当て方法について、お気軽にご相談ください。
※ジュースは産地が混ざると味が変わりますが、アルミは「製造に使った電気」が違うだけで、アルミ合金そのものの成分・品質は完全に同じです。
4. おわりに
環境への配慮は、一度にすべてを変えなければ意味がないわけではありません。
大切なのは、今できる範囲から確実に取り組みを始め、その成果を積み重ねていくことです。
マスバランス方式は、その取り組みを可能にし、そして証明する仕組みです。
私たちは、お客様と共に、無理なく、着実に、脱炭素社会の実現を目指します。















