アルミニウム合金は、軽量でありながら高い強度を持つ素材として、多岐にわたる産業で重要な役割を果たしています。
これらの合金は、純アルミニウムに一つまたは複数の元素を添加することで、様々な物理的、化学的特性を持たせることが可能です。
航空宇宙、自動車、建築、電子機器など、幅広い分野でその用途を見出しています。
当社では、幅広い用途に対応するために、様々なアルミニウム合金の中から押出加工に適したものを選定し、「1070」「3003」「6005C」「6061」「6063」これらを使用しています。
取り扱い合金について
「1070」「3003」「6005C」「6061」「6063」合金は、それぞれ独特の特性を持ち、特定の用途に最適化されています。
- A1070:この合金は、1000系に属し、純アルミニウムの代表的な例です。純度が99%以上で、非常に高い耐食性と優れた加工性を備えています。電気伝導性も良好で、一般的な化学器具や反射板、電気部品などに使用されます。
- A3003:3000系の代表で、マンガンを主要添加元素としています。耐食性と加工性に優れており、低温環境での強度維持が特徴です。断熱材、冷蔵設備、空調ダクト、容器類などの用途に適しています。
- A6005C:6000系の一員で、マグネシウムとケイ素を添加しています。中程度の強度と良好な耐食性、加工性を兼ね備えており、建築材料や自動車部品、家具類などに使用されます。
- A6061:この合金も6000系に属し、マグネシウムとケイ素が主要添加元素です。高い強度、優れた耐食性、加工性が特徴で、熱処理により性能を向上させることができます。航空宇宙部品、自動車部品、海洋応用などに広く使用されています。
- A6063:同じく6000系の合金で、6061と似た成分を持ちますが、特に表面仕上げが良く、押出性に優れています。建築の窓枠やドア等に適しています。
これらの合金は、押出材として優秀な特性を持ち多様な産業ニーズに応えるために当社で取り扱っています。
加藤軽金属工業でできること 当社では、小ロットや短納期に対応する3000系アルミニウム形材の製造を行っています。3mmからの短尺切断、ろう付け、曲げ、組立などの一貫加工が可能です。さらに、SDGsへの取り組みとして、グリーンアルミや[…]
アルミニウムの合金番号
上記以外のアルミ合金ではどのような特性があり、どのようなことに向いているか表にしました。
~系(番台) | 添加金属 (アルファベット) | 特徴 |
---|---|---|
1000 | 純アルミニウム (Al) | 純度99%以上のアルミニウムで、非常に高い耐食性と優れた加工性を持ちます。電気伝導性も良好で、化学産業や食品業界で広く使用されています。 |
2000 | 銅 (Cu) | 高強度を提供する銅を添加した合金で、航空宇宙産業で多用されます。加工硬化性に優れ、熱処理でさらに強度を高めることが可能です。 |
3000 | マンガン (Mn) | マンガンを添加することで、耐食性と加工性が向上します。特に低温環境での強度が保持されるため、冷蔵設備や空調システムで利用されます。 |
4000 | ケイ素 (Si) | ケイ素を主要添加金属とし、耐摩耗性に優れた特性を持ちます。溶接材料やピストンなど耐熱性が求められる用途に適しています。 |
5000 | マグネシウム (Mg) | マグネシウムを添加することで、中程度の強度と優れた耐食性を実現します。海洋関連の応用や輸送機器に適しており、成形加工性も良好です。 |
6000 | マグネシウム (Mg) とケイ素 (Si) | マグネシウムとケイ素の組み合わせで、優れた強度、耐食性、加工性を兼ね備えます。建築材料や自動車部品に広く使用され、熱処理による性能向上が可能です。 |
7000 | 亜鉛 (Zn) | 亜鉛を主要添加金属としており、非常に高い強度を持ちます。加工硬化性と耐食性も良好で、航空宇宙や軍事産業で重宝される合金です。 |
化学成分成分表
弊社使用アルミ合金の化学成分表
合金番号 | Si | Fe | Cu | Mn | Mg | Cr | Zn | V,Zr,Ni,Bなど | Ti | その他,個々 | その他,合計 | Al |
1070 | 0.20以下 | 0.25以下 | 0.04以下 | 0.03以下 | 0.03以下 | – | 0.04以下 | V 0.05以下 | 0.03以下 | 0.03以下 | – | 99.70以上 |
3003 | 0.6以下 | 0.7以下 | 0.05~0.20 | 1.0~1.5 | – | – | 0.10以下 | – | – | 0.05以下 | 0.15以下 | 残部 |
6005C (6N01) | 0.40~0.9 | 0.35以下 | 0.35以下 | 0.50以下 | 0.40~0.8 | 0.30以下 | 0.25以下 | Mn+Cr 0.50以下 | 0.10以下 | 0.05以下 | 0.15以下 | 残部 |
6061 | 0.40~0.8 | 0.7以下 | 0.15~0.40 | 0.15以下 | 0.8~1.2 | 0.04~0.35 | 0.25以下 | – | 0.15以下 | 0.05以下 | 0.15以下 | 残部 |
6063 | 0.20~0.6 | 0.35以下 | 0.10以下 | 0.10以下 | 0.45~0.9 | 0.10以下 | 0.10以下 | – | 0.10以下 | 0.05以下 | 0.5以下 | 残部 |
機械的性質一覧
引張試験 | ||||||
合金番号 | 質別 | 試験個所の肉厚 mm | 引張強さ N/mm2 | 耐力 N/mm2 | 伸び% A50mm | 伸び% A |
1070 | H112 | 全て | 55以上 | 15以上 | – | – |
3003 | H112 | 全て | 95以上 | 35以上 | 22以上 | 17以上 |
6005C (6N01) | T5 | 6以下 | 245以上 | 205以上 | 8以上 | – |
T5 | 6を超え 12以下 | 225以上 | 175以上 | 8以上 | – | |
T6 | 6以下 | 265以上 | 235以上 | 8以上 | – | |
6061 | T6 | 6以下 | 265以上 | 245以上 | 8以上 | 7以上 |
T6 | 6を超えるもの | 265以上 | 245以上 | 10以上 | – |
6063の機械的性質
引張試験 | 硬さ試験 | |||||||
合金番号 | 質別 | 試験個所の肉厚 mm | 引張強さ N/mm2 | 耐力 N/mm2 | 伸び% A50mm | 伸び% A | 試験個所の肉厚 mm | HV5 |
6063 | T1 | 12以下 | 120以上 | 60以上 | 12以上 | – | – | – |
12を超え25以下 | 110以上 | 55以上 | 12以上 | – | – | – | ||
T5 | 12以下 | 150以上 | 110以上 | 8以上 | 7以上 | 0.8以上 | 58以上 | |
12を超え25以下 | 145以上 | 105以上 | 8以上 | 7以上 | ||||
T5C | 25以下 | – | – | – | – | 0.8以上 | 40~57 | |
T5G | 25以下 | – | – | – | – | 0.8以上 | 40~57 | |
T5E | 25以下 | – | – | – | – | – | 40~57 | |
T6 | 3以下 | 205以上 | 170以上 | 8以上 | – | – | – | |
3を超え25以下 | 205以上 | 170以上 | 10以上 | – | – | – |
加工性のよい6000系アルミ合金は光輝合金に向いています。
光輝合金とは、その表面が特別な光沢や輝きを持つ金属合金を指します。
この種の合金は、高い反射率、鏡面のような光沢、または独特の色彩を特徴としています。
アルミ合金も、光輝合金に適しています。特に6000系アルミニウム合金は、マグネシウムとシリコンを合金元素として含んでおり、良好な強度、中程度の耐食性、優れた加工性を兼ね備えています。
さらに「研磨」「バフ掛け」「アルマイト処理(陽極酸化)」を施すことでさらなる光沢や鏡面のような仕上も可能になります。
光輝合金として向いているアルミ
加工や仕上がりのしやすさに基づいてアルミニウム合金の順序を考えると以下になります。
- 6000系(特に6061や6063)
- 加工性が非常に高く、アルマイト処理などの表面処理によって美しい光沢が得られます。強度と加工性のバランスが優れているため、光輝合金として最も適していると考えられます。
- 5000系(特に5052や5083)
- 耐食性に優れ、特にアルマイト処理によって良好な光沢を実現できます。強度と耐久性も高いため、6000系に次いで光輝合金として適しています。
- 3000系(特に3003)
- 3003合金は、マンガンを主要な合金元素として含み、純アルミニウムよりも強度が高いです。
- 加工性が良く、バフ掛けや研磨、アルマイト処理を施すことで美しい光沢を実現することが可能です。
- 耐食性も比較的良いため、建築材料やキッチン用品など、見た目と機能性が求められる製品に使用されます。
- 1000系(特に1070)
- 純アルミニウムが主成分で、自然な光沢があります。しかし、強度が低いため、装飾的な用途には適していますが、構造的な用途には向いていません。
向いていないアルミニウム合金としては、以下のものが挙げられます。
- 2000系や7000系
- これらの合金は、航空宇宙産業など特定の高強度が求められる用途に適していますが、光輝合金としては必ずしも最適ではありません。
- 2000系(銅を主要成分とする)や7000系(亜鉛を主要成分とする)は、他の系列に比べて耐食性が低く、アルマイト処理などの表面処理にも制限があります。このため、美しい光沢を得ることが難しく、光輝合金としての用途には向いていないと言えます。
※これらは、合金の基本的な特性と、光沢を得やすいかどうかという点に基づいています。特定の用途や加工方法によっては、異なる場合もあります。
加藤軽金属工業では、押出から熱処理、アルマイト処理、切断などの各種加工に至るまで窓口を一元化し、迅速にご対応いたします。
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