特殊なアルミ亜結晶粒の特性を持った押出材を製造可能になりました。
予想する主な使用方法については精密鍛造母材、精密切削母材、精密加工母材等を考えています。
※現在用途を模索中です。
ここでは、材料の特性についての紹介になります。
アルミ亜結晶粒素材の特性
亜結晶粒の特性を持った素材は以下の特性があります。
- 亜結晶(1~10、10~20、20~30μmなど粒子の大きさをコントロール・集約できる)
- 熱で結晶粒が肥大化しない
- 通常の材質よりEL・TS・YPが高い
- 内部の残留応力が少ない
この特性の中から「EL・TS・YPについて」「内部の残留応力が少ない」についてご案内します。
EL・TS・YPとは「延伸率」「引張強度」「降伏点」のこと
EL (Elongation at Break)は、材料の延伸率(伸び率)を表す指標
これは、材料が引張試験中に破断するまでどれだけ延長するかを示す割合です。
アルミの伸び率 “A50mm” は、アルミニウム合金の特性を表す数値の1つです。
正確には、「A50mm」50mm長さの試験片がどれだけ伸ばされるかを示すもので、一般的には材料の延性を表す指標として使用されます。
具体的には、A50mmは以下のように定義されます。
50mmの長さの試験片を引っ張る場合、最初の50mmまでの間で試験片がどれだけ変形(伸びる)するというパーセンテージで表したもの。たとえば、A50mmが10%の場合、50mmの長さの試験片が引っ張られると10%の伸びが起こることを意味します。
TS (Tensile Strength)は、引張強度(引張強さ)を表す指標
引張強度(引張強さ)とは、材料が引っ張り(テンション)試験によって受ける応力(引っ張りの力)に対して、どれだけ強く抵抗するかを表す指標です。
引張強度は、材料が最大限の力をどこまで強いだけになるかを示す重要な性質です。
一般的に、引張試験では試験片を機械的に引っ張って、その際にかかる応力と試験片のひずみ(長さの変化)を測定します。
その結果、応力-ひずみ曲線で表し、強度はこの曲線上で最大応力が発生する点の値として示されます。
引張強度は通常、N/mm²(ニュートン毎平方ミリメートル)またはMPa(メガパスカル)という単位で表されます。これは、試験片の断面積相当にかかる力を材料の断面積で割った引張強度が高いほど、材料は引っ張られてもより強く抵抗することができます。
YP (Yield Point)は、降伏点を表す指標
降伏点は材料が最初に永久的な変形を開始する応力を示し、耐力は材料が最大の応力を受けるまでどれだけ強いのかを示します。
アルミの降伏点(降伏点)は、金属の強度特性の1つであり、材料が引っ張られる際に最初に可塑性変形(永久的な変形)を開始する応力の値を指します。永久的な変形は降伏点を超える応力が材料にかかるとその形が元に戻らない変化のことを意味します。
降点伏は材料の引っ張り試験(テンション試験)を行い、応力-ひずみ曲線を描いた際に、材料が線形的な挙動を示す領域を超える点で観測されます。を始め、その後は徐々に変形することになります。
TSと同じく、N/mm²(ニュートン毎平方ミリメートル)またはMPa(メガパスカル)という単位で表されます。
内部の残留応力が少ない理由
亜結晶粒子の内部には残留応力が少ない理由は、再結晶による緩和と亜結晶粒子の小さいサイズが影響しています。
亜結晶粒は再結晶によって形成されることがあります。 再結晶は、高エネルギーの結晶粒が低エネルギーの結晶粒に置き換わる過程で、内部の応力が緩和されます。結晶粒ができると、結晶粒境界が移動して応力が分散され、内部の応力が減少します。
亜結晶粒は通常、一般的な結晶粒よりも小さいです。 結晶粒のサイズが小さいと、結晶粒境界の境界が広くなり、応力が分散されやすくなります。結晶粒が形成されることで、内部の応力集中が減少し、残留応力が少なくなる可能性があります。
アルミニウム合金における亜結晶粒は、高温で形成されることがあります。高温では再結晶が進みやすくなり、亜結晶粒子が形成されます。また、亜結晶粒子は一般的な結晶粒子より小さいため、内部の応力が分散されやすくなります。
亜結晶粒は、再結晶による緩和と小さいサイズが、内部の残留応力が少ない理由です。これにより、亜結晶粒を持つ材料は、耐久性や安定性が向上することがあります。
残留応力があると何がいけないの?
残留応力があると、材料製品の強度や耐久性や悪い場合があります。
- 変形や破壊の原因になる:残留応力が材料内に残ると、材料が変形しやすくなり、製品が壊れる可能性が問題になります。
- 疲労寿命の低下:残留応力がある場合、耐久性が低下します。これにより、製品の寿命が短くなる可能性があります。
- 形状の歪み:残留応力があると、製品の形が歪むことがあります。部品の形が変形してしまい、正常に動かなくなることがあります。
例えばガラスが急速に冷却されると、表面と内部で温度が異なる残留応力が生じます。この残留応力により、ガラスの強度が低下し、割れやすくなります。
残留応力は、材料や製品の品質や耐久性が悪くなる可能性があります。材料の設計や製造工程での残留応力を最も重視することのひとつです。
外接円:~200mm
関連する弊社MVVの一部を紹介
弊社では企業理念を定めました。
その中で今回、材料開発は行動指針である「おもろい研究」に挑戦を致しました。
Value.1 おもろい研究
私たちは【新しい挑戦を通じて発見とその共有を行う】
※おもろい:単に“おもしろい”という意味を超えて “独創的”、“創造的”で“型破りな”という意味
- 自他ともに、そして顧客もおもろいと思う選択・挑戦を進んで行っていく。(安全第一)
- おもろいと思うことに挑戦し、失敗も成功も記録し、蓄積する。それを共有しブラックボックスをなくす。意図があれば、どんだけでも失敗OK!
お客様へ最高の品質とサービスを提供することを第一に考え、私たちは企業の目指す方向性を会社全体で話し合い、これらのMVVを定めました。
この目標は、お客様や関連企業様、社内の各部門やチームが一丸となって協力しあえる環境を構築する事で、より寄り添った対応が出来るようにと決めたものです。
私たちは、感謝し感謝され、応援される存在になる事を意識し、会社全体で常に改善を追求します。お客様のフィードバックや要望を真摯に受け止め、それを反映させることで、より満足度の高い製品を提供することができます。
最後に、お客様との関係を築くために、責任感と真心を持って対応します。関わる全ての人の未来を支えるパートナーとして、私たちは、会社全体で目標に向かって一丸となり、努力を続けます。 お客様の期待に応えて、最高の品質とサービスを提供することをお約束します。
私たちの企業理念 Mission, Vision, Valuesをご紹介します。 Our Mission 会社の存在意義・使命 【 寄り添い型探し 】 親身になって相手の気持ちを理解しようとし、共感する。社会・顧客ニーズを理[…]
まとめ
今回新たな押出材料として、アルミ亜結晶粒素材の押出材料を開発致しました。
しかし新規材料の為、母材として用いる事に優れている特性を持っているご案内しか出来ないことがまことに心苦しくあります。
現在、用途を模索しています。現在の加工品について、「もう少し強度を高めたい」「丈夫にしてみたい」等、お客様の希望をかなえられるかもしれません。
お見積もりやご相談に費用は頂いておりませんので、この少しの改善がお客様の製品を大きく改善するきっかけになれば幸いです。その他アルミに関するお困りごとも解決できるかもしれませんのでお気軽にご相談頂けたらと思います。
今後、新規情報及び進展につきましては随時更新して参ります。よろしくお願いします。