24年問題とトラック運転手の労働時間問題に対する物流業界の対策

2024年問題は、働き方改革関連法によってドライバーの労働時間制限になることで生じる諸問題を意味します。この問題についての具体的な法律の内容、影響、対応策を詳細に解説します。

24年問題とは

政府は労働環境の改善を目指し、「働き方改革関連法」によって2024年4月からドライバーの時間外労働の上限を年間960時間に制限すると定めました。

労働環境改善のために行う政策のためメリットもありますが、世間的にはデメリットの部分が目立ち、問題視されています。

この「働き方改革関連法」に伴い発生する問題を「2024年問題」です。

24年問題に関連するこれまでの政策

厚生労働省:「働きかた改革関連法」の概要より引用
https://jsite.mhlw.go.jp/aichi-roudoukyoku/jirei_toukei/koyou_kintou/hatarakikata/newpage_01128.html
出典:(公社)全日本トラック協会「労働関係法令が改正されました」http://www.ata.or.jp/tekisei/roumukannkei.pdf

24年問題に関係する「働き方改革関連法」(正式名称:働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律)について、一部抜粋します。

  • 時間外労働の上限規制
  • 年5日の年次有給休暇の義務付け
  • 月60時間声の時間外労働の割増賃金率の引き上げ

上記の政策によって過労死のリスクが低くなり、ドライバーの健康が守られるようになりました。

しかし「自動車運転者の労働時間に関わる実態調査事業 報告書」によると、トラックドライバーの拘束時間に関する意見では、「拘束時間をもっと厳しくするべきだと思う。労働時間が長いと集中力低下、疲労が蓄積され事故に繋がる危険が高い。」という意見や、「拘束時間を短縮しないでほしい。運転手は、基本給プラス時間外手当、歩合で生活しているので、働けるうちは働きたい。」等の意見がありました。

このようにリスクとリターンは個人の考え方で大きく異なり、働き方が改善されたとしても反対の意見は出てしまいます。

その意見に対して、「働き方改革関連法」をさらに推し進めて、働く方々が個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を自分で「選択」できるようにするために模索することが必要になってきます。

そもそも「働き課企画関連法」はなんで生まれたの?働き方改革の基本的な考え方

「働き方改革関連法」は、働く人々が自分自身の事情に応じた多様で柔軟な働き方を選択できる環境を整備するために生まれました。

日本が解決する高齢者少子化や働く人々のニーズの多様化といった課題に対応するためには、投資や革新による生産性向上とともに、検討機会の拡大や働く人々が模索や能力を最大限に発揮できる環境の整備が必要とされました。

具体的な働き方改革の現状として、時間外労働の上限規制や柔軟な働き方の導入、ワークライフバランスの推進などが挙げられます。や家族の状況に合わせて働けるように、働き方の多様性を実現するための決断です。

「働き課企画関連法」は、働く人々が自分自身の事情に合わせて多様な働き方を選択できる社会を実現するために導入され、成長と分配の好循環を構築し、働く人々がより良い将来の展望を持てるようにすることを目指しています。

24年問題の主な改正について

道路貨物運送業では、脳や心臓の疾患による労災支給の決定件数が他の業種に比べて最も多く、トラックドライバーの長時間・過重労働が深刻な問題とされています。

さらに、働き方改革関連法による国会附帯決議により、過労死の防止などの観点から、改善基準告示の改正が求められました。

 全日本トラック協会:改正改善基準告示 会員事業者向けパンフレットより引用https://jta.or.jp/pdf/kaizen/kaizen01.pdf

そして、2024年4月からトラックドライバーに対して罰則が付いた時間外労働の上限規制が導入されることになります。

これにより、長時間労働が慢性化しているトラック運送業界は、迅速に効果的な長時間労働是正の取り組みを推進する必要が出てきました。

物流業界の960【自動車運転業務】

厚生労働省 働き方改革 関連資料ダウンロード&リンク 資料「働き方改革取組事例集2022」より引用

これが今回問題となっている時間外労働の上限が年960時間になった問題についての内容です。

時間外労働の上限規則は【右図】残業時間の上限は、原則として月45時間・年360時間とし、臨時的な特別の事情なくこれを超えることはできません。これを一般則としています。

これと比較すると今回の【自動車運転業務】ドライバーならではの柔軟性のある若干緩めな規則になっていると感じます。

●時間外労働と休日労働の合計について
  月100時間未満  2~6か月平均80時間以内とする規制は適用されません。
●時間外労働が月45時間を超えることができるのは年6か月までとする規制は適用されません。

一般則の方や自動車運転業務の従事者も、時間外労働が960時間超えてしまったり規則を超えてしまうと「6か月以下の懲役、または30万円以下の罰金」の罰則があるので注意が必要です。

1年、1か月の拘束時間の変更【改正改善基準告示】

「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(改善基準告示)は、トラックドライバーの労働時間等の労働条件の向上を図るため、労働基準法では規制が難しい拘束時間(労働時間+休憩時間)や休息期間(勤務間インターバル)、運転時間等の基準を定めたもの(厚生労働大臣告示)です。

全日本トラック協会HP 働き改革特設ページ資料より引用

時間外労働を含め2024年4月より、年間に働ける時間が3516時間から原則3300時間となります。

時間外労働が多い場合は、荷主とドライバーと詳細を話し合い、なるべく早めに今後の運用について考えていくことが重要と言えます。

影響と問題

ここでは24年問題に直面した際の問題点について荷主(依頼者、積み荷の持ち主)と、ドライバーの立ち位置から見えてくる影響と問題点を紹介します。

荷主とは、物流業界において商品や貨物の輸送を依頼する顧客や企業のことを言います。荷主は自社の製品や物資を運送するために、運送業者や物流会社と契約を結び輸送や配送を行い、物流プロセス(輸送ルートや納期、品質)を管理しています。

荷主への影響と問題

トラックドライバーの労働時間制限が厳しくなると配送に大きな影響を及ぼします。

これは荷主だけではなく、ネットショッピング等で配送を利用している私たちにも直面するかもしれない内容です。

例えば以下のような内容が考えられます。

  • 配送スケジュールの遅延
  • 配送コストの増加
  • ドライバーの確保
  • 運転ルートの最適化
  • 配送の柔軟性の低下

これらを簡単に解説していきます。

配送スケジュールの遅延

時間外労働の制限がかかることにより、トラックドライバーが運ぶ荷物の配送時間が遅れる可能性が高まります。

これにより、荷主は顧客への商品到着時間の遅延に対応しなければならず、信頼性や顧客満足度が低下する可能性があります。

配送コストの増加

労働時間の制限が厳しくなるということは、長時間働いていたトラックドライバーさんは、今までよりも働くことが出来なるという事です。

これまでの配送していたものが時間が足りないから送れない事も予想されます。

場合によってはより多くのトラックドライバーを雇う必要が生じ、人件費が増加する可能性があります。これは荷主にとって追加の経費となります。

ドライバーの確保

労働時間の制限が厳しくなると、トラックドライバーの数が不足する可能性があります。

ドライバーの高齢化や、トラックドライバーの求人倍率は高く売り手市場の為、人手不足が深刻です。時間外労働が減ってしまうドライバーは給与が下がってしまうリスクもあり離職も懸念されます。

荷主は十分な数のトラックドライバーを見つけることが困難になり、需要と供給のバランスを維持するのに苦労する可能性があります。

運転ルートの最適化・見直し

労働時間が制限される事で、荷主は効率的な休憩時間や労働時間を最適化する必要があり、運転ルートの最適化・作業の見直しをする事で無駄を省く様々な工夫が必要になってきます。

配送の柔軟性の低下

配送の柔軟性が制約される場合があります。

急な配送要求や特別な状況に対応することが難しくなり、荷主は柔軟な配送オプションを提供することができない可能性があります。

ドライバーへの影響と問題

「働き課企画関連法」は働く人の心と身体の健康を改善するための法改正の仕組みです。これにより労働基準法、労働安全衛生法、労働者派遣法など様々な法律が改正されます。

今回の24年問題ではドライバーの心身のリスクを軽減するのが目的ですが、収入が変わればこれまでの生活基準が崩れる恐れがあり人によってはデメリットとなってきます。

問えば下記のようなことが考えられます。

  • 収入の減少・就業機会の減少
  • 運送スケジュールの制約
  • ワーク・ライフ・バランスの悪化

収入の減少・就業機会の減少

まずは、ドライバーの方々が気になってくるのは収入の減少です。

時間外労働を制限されるわけですから、今回定められる上限960時間を超えていた方は収入が減ってしまいます。それに伴い離職や新規のドライバーが減る可能性があります。

しかし、2023年4月から時間外労働が月 60 時間を超える場合の 残業割増賃金率が中小企業の場合25%から50%に引き上げられました。(大企業の場合は以前より50%で運用している)

これにより一部ではありますが収入が安定、もしくは増える場合も考えられます。

運送スケジュールの制約

時間外労働の制限により、ドライバーは配送スケジュールの制約を受ける可能性があります。

ドライバーは配送の時間枠に制限を受けるため、荷主としては効率よく運用したいと考えるからです。

今まで以上に管理されたスジュールや短縮された労働時間内での作業により、ドライバーは配送の時間に制限を受け、柔軟性が減少する可能性があります。

ワーク・ライフ・バランスの悪化

ワーク・ライフ・バランスの向上を目的としていますが時間の制約を受けることで、逆に仕事とプライベートの時間の調整が困難になるかもしれません。

課題と対策・改正に伴うメリット

上記では法改正による問題点や懸念事項について焦点を当ててきましたが、それがすべて当てはまるというものではありません。

「働き課企画関連法」は働く人の心と身体の健康を改善するための法改正の仕組みです。そのため改正に伴うメリットや、改善の動きによってこれまでよりも効率的に無駄なく働ける仕組みを築けるチャンスです。労働環境の改善は荷主とドライバーがwin-winの関係であることが理想と考えます。大切なのは【相互理解、バランス、効率化】ではないでしょうか。

そこで「24年問題」に問題に対する課題と対策、改正に伴う起こりうるメリットを紹介していきます。

問題点がすべて当てはまり必ずしもマイナスに傾くとは限らないことを理解し、あくまで可能性として知ることが重要です。自身の労働環境改善に役立つと幸いです

荷主、ドライバーの労働環境の改善

「自動車運転者の労働時間等に係る実態調査事業」の資料によると、改善基準告示(法)を遵守することが難しい理由に【発荷主で荷待ち時間が発生するため 35.8%】【着荷主で荷待ち時間が発生するため 37.7%】があります。他にも効率的な運行計画を作れていない、時間指定、積込みや荷卸しが手荷役、運行ルートの問題等があげられています。

このような問題を改善する取り組みとして、「ホワイト物流」推進運動があります。労働時間の計測や管理を行うシステムの導入、効率的な業務プロセスの見直しを行う等、具体例が掲載されています。

 「ホワイト物流」推進運動ポータルサイト より引用
https://white-logistics-movement.jp/outline/

適切な労働時間や労働環境を整備する事は、労働者のモチベーションや生産性が向上し、業務の効率化や品質の向上とトラック業界の社会的な評価向上が期待されます。

高効率化が図れたら忘れないでほしいこと

物事が効率よく進むという事は、ドライバーの労働者の健康リスクや事故のリスクが減少やワークライフバランスが取れとても良いことです。しかし、労働時間の減ったドライバーの給与は下がることとなります。

そのため適正な運賃や料金の設定をし、収入が減らないような配慮も重要です。

競争力を維持しつつ、適正な収益を確保するためには、料金の見直しや見積もりの対効果の最適化が求められます。適正な運賃や料金によって増額、賃金の原資となる利益を確保する必要があります。

これをドライバーへ還元することで適正な労働環境につながり、トラックドライバーの収入が減らず安定的に維持されることが期待されます。荷主とドライバーがwin-winの関係でいることが、優秀な人材の確保や業界の発展にもつながります。

まとめ 当社(加藤軽金属工業株式会社)は

当社は、物流の改善はドライバーの環境と地球環境を考える上で重要と捉え、同業他社様や協力会社様との共同運行を企画しています。

具体的な方針と対応について下記の事項になります。

  • 積荷時間の削減
  • まとめ輸送
  • 共同運航便による輸送効率の向上

24年問題は今後どれだけの影響が出るかわかりません。その時になって困らないように準備をして、環境を整えておきましょう。

実際に当社の取り組みが多くの人にとって評価はされないでしょうし、影響もないと思います。

しかし、24年問題や当社の取り組みを知ってもらうことで「うちでもこうしよう」「改善してみよう」という声が広がるかもしれません。この多少の取り組みが誰かに届くことを願っています。

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