アルミの表面処理とアルマイト処理の種類、どのような見た目になるか

ここではアルミニウムに施すことができる表面処理を紹介します。

表面処理を行うことで同じ製品であっても表情が変わり多様なニーズを生み出す可能性があります。

例えばマットな感じに仕上げて高級感を演出させることやカラーアルマイトで色を付けて鮮やかにすることも。落ち着いた感じに表面をぼかすような処理もあります。

各種の見本を通じて、皆様のイメージを膨らませるお役に立てれば幸いです。

目次

科学的前処理

科学的前処理とは化学薬品を用いて表面を科学的に変化させ被膜を発生させる表面処理のことを言います。

薬品の種類や使用条件によって処理後の表面を調整できることが可能です。

この加工により表面を被膜で覆うことにより防錆性やキズに強くさせることができます。

また、すべての処理は機械的前処理と組み合わせて利用する事が出来ます。

科学的前処理の種類

無処理

化学研磨

化学梨地

【無処理】前処理をせずアルマイト処理を施したもの

【化学研磨】表面の微細な凹凸を調整し、生地表面を滑らかにすることで光沢度を上げる処理

【化学梨地】表面を梨地上のつや消し状態にする処理
0.1~0.3mm程度の深さの凹凸が得られる

機械的前処理

機械的前処理は物理的に道具を用いて表面を綺麗に整えることができます。

サンドブラスト、ワイヤーブラシなどによる研磨を行い金属の表面部分を綺麗にすることを目的としています。

ブラスト処理(ガラスビーズ等)

アルミの生地表面に細かい粒子である研磨剤(ガラスビーズ)を吹き付けて0.1~0.3mmの凹凸をつけることができる処理です。

研磨剤の粒子の大きさや吹き付ける時間・強さで粗さが変わり、研磨剤の材料によって違いが生じます。

処理後は比較的なだらかで光沢が得られます。

この処理は厚みのある材料に適しており、薄い材料に施した場合変形する可能性があります。似たような表面を作り出すサンドスクラッチ加工は0.3mm程度のモノでも加工可能なのでそちらをおすすめします。

下記表記の【 #220 】【 #100 】【 #80 】【 #60 】は目の粗さ・細かさを現しています。

数字大きいほど細かく数字が小さいほど荒くなっていきます。

ブラスト処理 ガラスビーズ#220

ブラスト処理 ガラスビーズ#100

ブラスト処理 ガラスビーズ#80

ブラスト処理 ガラスビーズ#60

ヘアライン

ヘアラインは表面に細かい髪・筋模様(閉口した長い直線)の同一方向にキズをつける加工です。

キズが目立ちにくく金属の質感を表現する事が出来ます。加工時は潤滑剤としてオイル(金属感が残る)か水を使用し研磨剤の粗さや押し付ける強さで表情を変えることができます。

ヘアライン加工は身近なところで多く使用されており、スマホやPCのカバーの線模様や、金属の腕時計などでも多く使用されています。アルミ製品ですと窓枠に使われているサッシの部分でよく見かけることがあります。

ヘアライン オイル仕上げ・細目

ヘアライン オイル仕上げ・粗目

ヘアライン 水仕上げ・細目

ヘアライン 水仕上げ・粗目

スピン仕上げ

スピン加工は研磨器具を押し当て回転させることで表面に円の模様を表現する事が出来、表面に立体感が生じます。

一か所の単一スピンや回転しながらスライドさせると、スライドスピンと呼ばれる模様になります。

そして、連続スピンと呼ばれるウロコ状の模様は複数の研磨具と表面に当てる順番を変えることで、より立体感のある仕上がりになります。

単一スピン

スライドスピン1

スライドスピン2

連続スピン(ウロコ模様)

サンドスクラッチ

金属ブラシを表面に押し当てて回転研磨する方法でサンドブラストと同様の表面を再現する事が出来ます。

板厚0.3mm程度の薄さでもほぼフラットな表面に仕上げることが可能です。

サンドスクラッチ #220

サンドスクラッチ #100

サンドスクラッチ #80

サンドスクラッチ #60

科学的前処理+機械的前処理

機械的前処理に化学研磨薬品を併用することで、さらに表面を滑らかにしたり光沢度を変化させることができます。

サンドスクラッチ+化学研磨

通常のサンドスクラッチに化学研磨薬品を併用することで光沢度が増します。

サンドスクラッチ#220+化学研磨

サンドスクラッチ#100+化学研磨

サンドスクラッチ#80+化学研磨

サンドスクラッチ#60+化学研磨

変則ヘアライン

一般的なヘアライン同一方向に長い直線を付けることですが、研磨ベルトを押し当てる際の条件や化学研磨処理の条件を変えることで様々な表面に仕上げることができます。

短い同一方向のキズを付けるショートヘアや複数の方向にキズを付けるクロスヘアといった変化にとんだテクスチャを得ることが可能です。

ヘアライン ショートヘア・細目

ヘアライン ショートヘア・粗目

ヘアライン クロスヘア 30°×30°

ヘアライン クロスヘア 水平×垂直

バイブレーション

化学研磨処理やブラシを利用する事で異なる表面に仕上げることができます。

表面は和紙に似た表面仕上がりで上品なイメージになります。また、小さなキズが目立ちにくいのも特徴です。

同じバイブレーション加工でも化学研磨薬品や異なるブラシを利用する事で様々な模様を表現できます。

バイブレーション 細目

バイブレーション 粗目

バイブレーション 光沢

バイブレーション パールトーン

エッチング

前処理を施した製品をエッチング液に浸して腐食(凹面)にすることで凹凸のコントラストで文字や図柄を表現する事が出来る。

表面に機械加工や染色を施した後にダブルエッチングする等、様々な条件によって複雑で立体的な図柄を表現できます。

ポシネガとは「ポジ型」【 positive / ポジティブ 】「ネガ型」【 negative / ネガティブ 】と呼ばれるエッチング処理のことで凹凸を表現する事です。

シンプルで浅い

ポシネガ・深い

ダブルエッチング

ポシネガ・ダブルエッチング

ヘアライン+エッチング

スピン+エッチング

光沢+スピン+エッチング

ヘアライン+ダブルエッチング

公益社団法人日本インダストリアルデザイン協会/JIDA 様資料より引用

着色処理(アルマイト処理)

アルマイトによって作られる被膜はアルミを科学的に変化させ被膜にしたものです。この被膜には無数の微細孔があり孔内部に染料の粒子を着色させることで発色され、本来の金属光沢や触覚を保ったまま着色されます。

塗装の場合だと一部分にキズが付いたら塗膜剥離がの原因になりますが、アルマイトの場合は表面の被膜に染料を着色させているため着色部の広範囲の剥がれなどはありません。

色の濃淡は、染色液や染色時間によって変化させる事が出来ます。

有機染色

ここではグレイカラーの紹介ですがカラーアルマイトは種類が豊富です。

グレイの他レッド、ピンク、ブルー、グリーン等があります。

グレイ1

グレイ2

グレイ3

グレイ4

無機染色

無機物を使用したアルマイトで色はゴールド系(濃淡は表現可能)です。

有機染色に比べて色は少ないですが耐熱性,耐光性,耐溶媒性に優れているため屋外などで多く使用されています。

ゴールド1

ゴールド2

ゴールド3

ゴールド4

アルマイト カラーバリエーション

色の一部を紹介します。このほかにも染色方法で様々に色を変化させる事が出来ます。

シルバー

レッド

ブラック

オレンジ

ブルー

ゴールド

表面処理+カラーアルマイト例

〇〇+レッド

〇〇+シルバー

まとめ

表面処理とアルマイト処理の見た目について紹介しました。掲載した写真以外にも組み合わせ次第で複雑なデザインも可能になります。ご不明な点は是非ご相談ください。

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